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メキシコペソ/円が約5カ月ぶり安値

2024/06/11 09:14

【ポイント】
・英雇用統計で市場のBOE金融政策見通しは変化するか
・憲法改正への懸念からメキシコペソには下押し圧力

(欧米市場レビュー)

10日、欧米時間の外為市場では、ユーロが軟調に推移。一時、ユーロ/円は168.269円、ユーロ/米ドルは1.07307ドル、ユーロ/英ポンドは0.84387ポンドへと下落しました。6~9日に実施された欧州議会選では右派や極右の政党が議席を増加。欧州議会選の結果を受けてフランスのマクロン大統領は、国民議会(フランス下院)を解散して選挙を実施すると発表しました。フランスをはじめとする欧州政治の先行き不透明感が、ユーロに対する下押し圧力となりました。

本日11日の『ファンダメ・ポイント』は、[欧州政治事情、英国やフランスは議会選挙へ]です。

その後、ラガルドECB(欧州中銀)総裁が「(政策)金利は直線的に低下する軌道をたどるわけではない」、「1回以上の理事会で金利を据え置く可能性がある」などと述べると、ユーロは下げ幅を縮小しました。

(本日の相場見通し)

英国の2-4月の雇用統計が本日発表されます(日本時間15:00)。その結果に英ポンドが反応しそうです。

雇用統計の市場予想は以下の通り。( )は前回の実績です。
・失業率(ILO基準):4.3%(4.3%)
・就業者数:10.0万人減(17.7万人減)
・平均賃金(賞与を含む。前年比):5.7%(5.7%)
・平均賃金(賞与を除く。前年比):6.1%(6.0%)

市場ではBOE(英中銀)は9月に利下げを行うとの観測があります(次回6月20日と、その次の8月1日については、政策金利の据え置きを予想)。

雇用統計が市場予想よりも強い結果になれば、BOEの利下げ観測が後退しそうです。その場合には英ポンドが堅調に推移して、英ポンド/円は上昇し、ユーロ/英ポンドは下落すると考えられます。ユーロ/英ポンドは、0.83352ポンド(22年8月安値)が下値メドです。

※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、22年8月以来の安値を示現!もう一段の下値追いとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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2日に行われたメキシコの大統領選・議会選の結果を受け、メキシコペソが下落基調を強めています。メキシコペソ/円は10日に一時8.392円へと下落し、1月4日以来およそ5カ月ぶりの安値をつけました。

メキシコペソ下落の主な要因として、与党が議会選で大勝したことによって憲法改正(電力の再国有化など)が進むとの懸念が市場で強まったことが挙げられます。

メキシコのシェインバウム次期大統領は10日(日本時間11日午前)、「司法改革に関する憲法改正案を維持する」と述べました。現在のロペスオブラドール大統領は2月に、20項目の憲法改正案を議会に提出。その中のひとつに司法改革がありました。メキシコペソに下押し圧力が加わりやすい地合いは続く可能性があります。

メキシコの新たな議会は9月1日から始まり、シェインバウム氏は10月1日に大統領に就任します。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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