欧州政治事情、英国やフランスは議会選挙へ
2024/06/11 07:41
【ポイント】
・欧州議会選でEU懐疑派の極右・右派が躍進
・マクロン仏大統領は下院を解散して選挙へ
・英国もスナク首相が総選挙を決定済み
・EU政治・欧州各国政治の右傾化に注意
6-9日に投票が行われた欧州議会選では、EUに懐疑的な極右や右派が勢力を伸ばしました。欧州議会はEUの立法府で、EU加盟国に横断的な課題に対応しています。移民受け入れルール制定、クリーンエネルギー、安全保障(ウクライナ支援、米国との関係・・)などです。
欧州議会は、各国内の政治には直接関わりません。ただし、極右や右派の躍進は、低成長や高インフレが続くなかで各国現政権に対する有権者の不満が表出した格好でしょう。欧州議会選の結果がプラスに作用するのは、主要国の中ではイタリアのメローニ政権(右派政党)ぐらいでしょう。
フランスのマクロン大統領は結果を受けて下院を解散し、選挙に踏み切りました(6月30日第1回投票、7月7日決選投票)。ドイツのショルツ首相は自身のSPD(社会民主党)が欧州議会選で極右のAfD(ドイツのための選択肢)に敗北し、第3党に転落しました。また、欧州議会選前ですが、イギリスではスナク首相が議会を解散して総選挙に打って出ました(7月4日投票)。
今後、欧州の政治情勢が相場材料となるケースが増えるかもしれません。要注意でしょう。
■ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、「ユーロ/英ポンド、22年8月以来の安値を示現!もう一段の下値追いとなるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
フランスの下院選挙:「極右連合」が過半数の議席を奪取?
フランスではルペン氏の極右RN(国民連合)が、支持率でマクロン大統領の与党連合を大きく上回っており、下院で第1党になる可能性が高まっています(単独での過半数獲得は難しく連立政権を目指す模様)。
仮に「極右連合」が下院の過半数を握れば、マクロン大統領の政権運営は非常に困難となりそうです。また、ユーロ圏の盟友フランスでの極右政党の勢力拡大は、求心力の低下しているドイツのショルツ政権にとっても大きな打撃となりそうです。
イギリスの総選挙:労働党が14年ぶりに政権獲得か
5月下旬の世論調査(5/27-28YouGov/The Times)によれば、労働党(スターマー党首)の支持率は47%で、保守党の20%を大きく上回っており、政権獲得の可能性はかなり高そうです。
労働党は、NHS(国民保健サービス)、教育、警察への支出増加を唱える一方、法人増税を封印して「親ビジネス」を掲げるなど左派色を薄めているようです。
もっとも、「トラス・ショック(※)」の記憶が新しいだけに、労働党が政権を獲得して新たな政策を打ち出した場合、辻褄が合うのか市場は厳しい目でチェックするかもしれません。
※22年9月にジョンソン首相の後を継いだトラス首相(いずれも保守党)は、財源の不透明な大幅減税を公約して、英国株・債券・英ポンドの「トリプル安」を招きました。トラス首相は在任わずか50日で辞任しました。
・欧州議会選でEU懐疑派の極右・右派が躍進
・マクロン仏大統領は下院を解散して選挙へ
・英国もスナク首相が総選挙を決定済み
・EU政治・欧州各国政治の右傾化に注意
6-9日に投票が行われた欧州議会選では、EUに懐疑的な極右や右派が勢力を伸ばしました。欧州議会はEUの立法府で、EU加盟国に横断的な課題に対応しています。移民受け入れルール制定、クリーンエネルギー、安全保障(ウクライナ支援、米国との関係・・)などです。
欧州議会は、各国内の政治には直接関わりません。ただし、極右や右派の躍進は、低成長や高インフレが続くなかで各国現政権に対する有権者の不満が表出した格好でしょう。欧州議会選の結果がプラスに作用するのは、主要国の中ではイタリアのメローニ政権(右派政党)ぐらいでしょう。
フランスのマクロン大統領は結果を受けて下院を解散し、選挙に踏み切りました(6月30日第1回投票、7月7日決選投票)。ドイツのショルツ首相は自身のSPD(社会民主党)が欧州議会選で極右のAfD(ドイツのための選択肢)に敗北し、第3党に転落しました。また、欧州議会選前ですが、イギリスではスナク首相が議会を解散して総選挙に打って出ました(7月4日投票)。
今後、欧州の政治情勢が相場材料となるケースが増えるかもしれません。要注意でしょう。
■ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、「ユーロ/英ポンド、22年8月以来の安値を示現!もう一段の下値追いとなるか」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
フランスの下院選挙:「極右連合」が過半数の議席を奪取?
フランスではルペン氏の極右RN(国民連合)が、支持率でマクロン大統領の与党連合を大きく上回っており、下院で第1党になる可能性が高まっています(単独での過半数獲得は難しく連立政権を目指す模様)。
仮に「極右連合」が下院の過半数を握れば、マクロン大統領の政権運営は非常に困難となりそうです。また、ユーロ圏の盟友フランスでの極右政党の勢力拡大は、求心力の低下しているドイツのショルツ政権にとっても大きな打撃となりそうです。
イギリスの総選挙:労働党が14年ぶりに政権獲得か
5月下旬の世論調査(5/27-28YouGov/The Times)によれば、労働党(スターマー党首)の支持率は47%で、保守党の20%を大きく上回っており、政権獲得の可能性はかなり高そうです。
労働党は、NHS(国民保健サービス)、教育、警察への支出増加を唱える一方、法人増税を封印して「親ビジネス」を掲げるなど左派色を薄めているようです。
もっとも、「トラス・ショック(※)」の記憶が新しいだけに、労働党が政権を獲得して新たな政策を打ち出した場合、辻褄が合うのか市場は厳しい目でチェックするかもしれません。
※22年9月にジョンソン首相の後を継いだトラス首相(いずれも保守党)は、財源の不透明な大幅減税を公約して、英国株・債券・英ポンドの「トリプル安」を招きました。トラス首相は在任わずか50日で辞任しました。
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