米サービス業は堅調、雇用は大丈夫か?
2024/06/06 07:42
【ポイント】
・5月ISM非製造業景況指数は23年8月以来の高水準
・4月求人件数は21年2月以来の低水準、5月ADP雇用はやや下振れ
・7日発表の5月雇用統計の下振れに要注意
・米長期金利は一段低下、さらなる低下も?
米国の5月ISM非製造業景況指数は53.8と市場予想(51.0)を上回り、昨年8月以来の高水準となりました。4月の同指数は16カ月ぶりの50割れでしたが、落ち込みは一時的だったようです。

ISM(供給管理協会)によれば、5月の同指数の水準が継続するなら、GDP前期比年率1.6%と整合的とのこと。3日に発表された5月ISM製造業景況指数は48.7と弱めでしたが、ISMによればGDP1.7%と整合的です。また、3日時点でアトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は4-6月期GDPを1.8%と予測しています。
■4日付け「米景気の減速感強まる!? 長期金利は大幅続落」をご覧ください。
3月のFOMCの経済見通しによれば、GDPの長期予想は1.8%。これは、景気が強すぎでも弱すぎでもない巡航速度という意味です。換言すれば、インフレが加速も減速もしない(と判断される)経済成長のペース。現状がこのペースであれば、FRBが現在の政策金利を維持する根拠の1つとなるかもしれません。
他方、雇用に関してはやや懸念すべき材料もあります。4日に発表された4月JOLTS(労働動態調査)では、求人件数が805.9万件と、コロナ禍のただ中だった21年2月以来の低水準でした。ただし、求人件数はFRBが利上げを開始した22年3月をピークに減少基調にあります。そして、今年4月の水準でもコロナ前のピークを上回っているので過度に懸念すべきではないかもしれません。

5日に発表された5月ADP雇用は前月比15.2万人増と、市場予想(17.5万人増)や4月実績(18.8万人増)を小幅に下回りました。月々の変化でみれば、ADP雇用と雇用統計が大きく食い違うケースも多々あります。ただ、景気に対して弱気な見方が増えているだけに、7日発表の5月雇用統計が下振れしないか要注意かもしれません。
*******
ISM非製造業景況指数が強めだったにもかかわらず、米長期金利(10年物国債利回り)は一段と低下し、4.276%に。重要な節目とされた200日移動平均(5日時点で4.348%)を下回ってきました。国債のショート(売り)ポジションを解消する動き(=買戻し)がまだしばらく続くとの見方もあり、長期金利の動向にも要注意でしょう。
・5月ISM非製造業景況指数は23年8月以来の高水準
・4月求人件数は21年2月以来の低水準、5月ADP雇用はやや下振れ
・7日発表の5月雇用統計の下振れに要注意
・米長期金利は一段低下、さらなる低下も?
米国の5月ISM非製造業景況指数は53.8と市場予想(51.0)を上回り、昨年8月以来の高水準となりました。4月の同指数は16カ月ぶりの50割れでしたが、落ち込みは一時的だったようです。

ISM(供給管理協会)によれば、5月の同指数の水準が継続するなら、GDP前期比年率1.6%と整合的とのこと。3日に発表された5月ISM製造業景況指数は48.7と弱めでしたが、ISMによればGDP1.7%と整合的です。また、3日時点でアトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)は4-6月期GDPを1.8%と予測しています。
■4日付け「米景気の減速感強まる!? 長期金利は大幅続落」をご覧ください。
3月のFOMCの経済見通しによれば、GDPの長期予想は1.8%。これは、景気が強すぎでも弱すぎでもない巡航速度という意味です。換言すれば、インフレが加速も減速もしない(と判断される)経済成長のペース。現状がこのペースであれば、FRBが現在の政策金利を維持する根拠の1つとなるかもしれません。
他方、雇用に関してはやや懸念すべき材料もあります。4日に発表された4月JOLTS(労働動態調査)では、求人件数が805.9万件と、コロナ禍のただ中だった21年2月以来の低水準でした。ただし、求人件数はFRBが利上げを開始した22年3月をピークに減少基調にあります。そして、今年4月の水準でもコロナ前のピークを上回っているので過度に懸念すべきではないかもしれません。

5日に発表された5月ADP雇用は前月比15.2万人増と、市場予想(17.5万人増)や4月実績(18.8万人増)を小幅に下回りました。月々の変化でみれば、ADP雇用と雇用統計が大きく食い違うケースも多々あります。ただ、景気に対して弱気な見方が増えているだけに、7日発表の5月雇用統計が下振れしないか要注意かもしれません。
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ISM非製造業景況指数が強めだったにもかかわらず、米長期金利(10年物国債利回り)は一段と低下し、4.276%に。重要な節目とされた200日移動平均(5日時点で4.348%)を下回ってきました。国債のショート(売り)ポジションを解消する動き(=買戻し)がまだしばらく続くとの見方もあり、長期金利の動向にも要注意でしょう。

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