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米景気の減速感強まる!? 長期金利は大幅続落

2024/06/04 07:37

【ポイント】
・5月ISM製造業景況指数は下振れ
・4-6月期GDP予測値は下方修正
・長期金利は大幅に低下
・今週はISM非製造業景況指数や雇用統計に要注意

足もとで米長期金利(10年物国債利回り)の変動が大きくなっています。先週29日には、国債入札の不調などから一時4.636%をつけました。その後は3営業日続落し、3日には4.388%まで低下しました。

米長期金利

先週後半は米GDPの下方修正やPCEデフレーターの一部下振れが金利低下要因となり、3日はISM製造業景況指数の低下が材料となりました。5月のISM製造業景況指数は48.7と、市場予想(49.5)や前月(49.2)を下回りました。ISMによると、5月の水準が続けば経験的にGDP前期比年率1.7%と整合的とのこと。

製造業指数以上に気になるのが5日発表の非製造業指数です。4月の非製造業指数は49.4と、22年12月以来16カ月ぶりに50を下回りました。これは一時的な下振れであって5月は50を上回ると予想されていますが、仮に2カ月連続で50割れとなれば、コロナショックの20年4-5月以来となります。なお、ISMによれば、24年4月の非製造業指数の水準が続けば、GDP前期比年率0.2%と整合的とのことです。

ISM指数

先週後半以降、米景気の減速感が強まっています。アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、5月24日時点で4-6月期GDPは前期比年率3.5%と予測されていました。それが6月3日時点で同1.8%まで低下しています。4-6月期GDPに関しては、ようやく5月分のデータが出始めたばかりであり、実績が発表されるのはまだまだ先です(7/25発表)。それまでに予測値は大きく変わる可能性はあります。

GDPNow内訳

GDPNow推移

3日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場のメインシナリオ(確率50%超)は「年内は9月と12月に0.25%ずつの利下げ」です。先週末時点では「年内は9月に0.25%利下げ1回」だったので利下げ観測が強まりました。目先的には、上述した5日のISM非製造業景況指数、6日の新規失業保険申請件数、7日の雇用統計(←5日にADP雇用などで景況感がどう変化するかに要注目でしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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