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エリオット波動・宮田レポート(短期アップデート) ※6月4日更新

2024/06/04 12:27

宮田レポート

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[日経平均]
【当面の想定レンジ】 35,000~40,000円

[NYダウ] 
【当面の想定レンジ】 36,000~40,700ドル

[ナスダック]
【当面の想定レンジ】 14,500~17,100

[米ドル/円]
【当面の想定レンジ】 137.000~161.350円

[ドルインデックス(ドル指数)]
【当面の想定レンジ】 99.578~108.350



[日経平均]


【週足・エリオット波動分析】

6月3日にTOPIXコア30が年初来高値を更新しました。TOPIXも一時2809まで上昇、3月高値(2820.45)試しが視野に入っています。

一方、日経平均は3月高値(41,087円)とは離れており、上記の指数とは「未確認」(弱気)の状態です。

これらを勘案し、従来の波動カウントを改めます。
4月19日安値(36,733円)を以て(3)-4波[ジグザグ]が終了し、直近は(3)-5波による上昇、とカウントします。

この見方によれば、22年3月安値(24,681円)以来の(インターミディエイト級)第(3)波は終わりつつあり、遠からず第(4)波による調整局面に移ることになります。現行4年サイクルに基づくと、日経平均は今年11月※までに主たる安値を付けると想定されます。
※4年サイクル(48カ月)の伸びしろ(オーブ)は8カ月(48カ月の六分の一)です。20年3月から4年8カ月が経過する時点が今年11月です。

ちなみに現行4年サイクルの終わりと第(4)波の終わりは、必ずしも一致しません。

日経平均の第(2)波(21年9月~22年3月)は半年間にわたる[ジグザグ]でした。
すると[オルタネーション]に基づくと、第(4)波には[フラット]や[トライアングル]など、第(2)に現れたジグザグとは異なるパターンが現れやすい、といえます。

例えば第(4)波がフラット(A-B-C)と仮定した場合、A波安値と4年サイクル安値が重なり、第(4)波自体の完了は25年以降になる、ということが考えられます。


【日経平均 日足・エリオット波動分析】
41,087円(3/22高値)以来のマイナー級第4波による調整は、36,733円(4/19安値)を以て終わり、そこからはマイナー級の第5波による上昇とカウントされます。この第5波を以て、22年3月以来のインターミディエイト第(3)波は完結します。

なお現行第5波の内部構造は、波の重なりが多いチョッピー(choppy)なものであり、典型的な(すっきりとした)衝撃波となっていません。このことは、第5波が「エンディング・ダイアゴナル」編成で上昇している、という示唆となっています(次の時間足チャートをご覧ください)。

[オルタナティブ・カウント]
現在の調整はインターミディエイト級の第(4)波です。
36,733円を下抜くとこの見方が有力となり、もっとも厳しいケースでは、日経平均は3万1000円処へ下押す可能性があります。

【日経平均 時間足・エリオット波動分析】
36,733円(4/19安値)以来、第5波による上昇が展開中とカウントできます。
この第5波中のマルⅰ波は39,437円(5/20高値)で、マルⅱ波は37,617円(5/30安値)で終わり、そこからはマルⅲ波による上昇とカウントされます。

この見方によれば、マルiii波は39,437円(5/20高値)を上抜きます。その後は、マルiv波の下げ、そして最終マルv波の上昇へと続くことになります。

なお目先のサポートは37,617円ですが、仮にそれを下抜くようであれば、36,733円を維持できるかが次の焦点になります。


[NYダウ] 

【NYダウ日足・エリオット波動分析】 
NYダウは22年1月高値(36,952ドル)から、プライマリー級➃波を展開中とみています。22年10月からの上昇は➃波における(B)波であり、それは「不規則天井(イレギュラー・トップ)」です。(B)波の後に続く(C)波の下落スケールは、(A)波の下落(22年1月~22年10月)に匹敵するか、あるいは、より大きなものになるでしょう。

22年10月安値(28,660ドル)を起点とする➃波中(B)波の上昇は、ダブル・ジグザグ[W-X-Y]。そのうち、23年10月安値(32,327ドル)からの上昇はY波ジグザグ[(a)-(b)-(c)]です。

そして、このY波は40,077ドル(5/20高値)で天井を打ち、➃-(C)波による下落が始まったかもしれません。この見方は37,611ドル(4/18安値)を下抜くことにより強められ、NYダウは当面、200日MAを目指し下落していく展開が想定されます。

200日MA…36,803ドル(6/3)

【NYダウ時間足・エリオット波動分析】
40,077ドル(5/20高値)から38,000ドル(5/30安値)までは第(ⅰ)波による下落、そこからは第(ⅱ)波によるリバウンドとカウントできます。

NYダウは当面、第(i)波の下げ幅に対する50%-61.8%戻り[39,039ドル-39,284ドル]を目指すとみられますが、そんな上値試しの動きを経て、第(ⅲ)波の下落が始まるでしょう。

38,000ドルを下抜くと第(ⅲ)波入りの可能性が高まり、当面は37,611ドル(4/18安値)を試すでしょう。

ただし厳密にいえば37,611ドルが維持される限り、上値追いのチャンスは残されます。
例えば3月高値からの(b)波が「ランニング・トライアングル」を形成するのなら、直近の下げはパターン中のc波による下げ、とみることが可能です。この場合、直近の上昇をトライアングル中d波とみるべきかもしれません。


[ナスダック]

【ナスダック総合指数日足・エリオット波動分析】
22年12月からの上昇は、プライマリー級第➃波における(B)波に位置付けられます。(B)波終了後には(C)の下落がスタートしますが、(C)波によりナスダックは12,500~10,000へ下落する可能性があります。

➃-(B)波による上昇はこれまで、[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]を形成しています。今年4月安値(15,222)からの上昇は、Y波(ⓐ-ⓑ-ⓒ)中ⓒ波に位置付けられます。

直近安値の16,445(5/31)はⓒ波の第(ⅳ)波と読めますが、そうであれば、ナスダックは第(ⅴ)波の上昇により17,032(5/28高値)を上回り、最高値を更新するでしょう。その動きを以て、ⓒ波は完了すると思われます。

なお高値更新の前に16,445を終値で下回る動きとなれば、そのときは既にナスダックがピークアウトしたことを告げる、最初のシグナルとなります。

【フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)・エリオット波動分析】
22年1月高値(4068)以来のパターンは[エクスパンディッド・フラット]、あるいは[ランニング・フラット]と想定されます。どちらのパターンも内部構造は(A)↘-(B)↗-(C)↘です。
[エクスパンディッド・フラット]の場合、 (C)波の下落により、SOX指数は22年10月安値(2089)を大きく下回るでしょう。
[ランニング・フラット]だと、(C)波の下落によっても22年10月安値は維持されます。それでも(C)波のスケールは、22年の下落(A)波に匹敵する大きなものになると思われます。

22年10月安値(2089)以来の上昇(B)波は[ダブル・ジグザグ(W-X-Y)]、4月安値(4287)からはY波中ⓒ波の上昇とカウントされます。

ナスダックと同じように、直近安値4988(5/31)からは最後の上昇とみられ、SOX指数は近々最高値を更新するでしょう。

ただし4988を終値で下回るようなら、既に下げ局面に転じたという見方が優勢となります。引き続き短期的な動きに注目です。


[米ドル/円]

2011年10月の75.570円以来の(A)-(B)-(C)[ジグザグ]による円安ⓦ波は、151.899円(22/10/21)を以て終わり、そこから2028年頃までレンジ相場を形成していく、というのが筆者による米ドル/円(ドル/円)の基本観です。直近の34年ぶりドル高・円安も基本的には、レンジ相場内の値動きの一環です。

【月足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)以来、長期円安トレンドにおける中間波・Ⓧ波が進行中です。
このⓍ波は2028年頃まで大きなレンジ相場(トライアングル、フラットなど)を形成するとみています。

ドル/円は4月29日の160.135円を以て、8年サイクル高値※を付けた可能性があります。
日柄面ではちょうど34年ぶり(フィボナッチ数)に90年4月高値(160.360円)に「里帰り」を果たし、水準面では第(Ⅲ)波中レッサー・ディグリー第Ⅳ波の高値に一致しています。

※およそ8年間隔でドル/円高値が巡る『8年サイクル』を振り返ると、過去もっとも長いサイクル期間は106カ月(98年8月~07年6月)でした。前回サイクル高値(15年6月)から106カ月経過時点が24年4月です。併せてマンスリー・フォーカス(5/8付)もご覧ください。

【週足・エリオット波動分析】 
22年10月(151.899円)からのA(↘)-B(↗)-C(↘)編成において、23年1月(127.158円)からはB波に位置付けられ、それは151.899円を超えて不規則天井(イレギュラー・トップ)を形成しています。

160.135円をB波終点とみなすと、B波の長さはA波に対し1.333倍になります。B波はA波の1倍超~1.382倍の範囲内で通常は決まりますが、今回のB波もノーマルな範囲内に収まっています。ちなみにA波の1.382倍ならB波トップの目標値は161.350円です。

160.135円(4/29)からC波による下落局面(ドル安・円高)が進行中とみられます。
このC波は今後140円~135円を試す可能性がある、と筆者はみています。

【日足・エリオット波動分析】
23年1月以来のB波によるドル/円上昇は、[ダブル・ジグザグ]編成で160.135円(4/29)を以て完了したとみられます。

4月に入ってからの急激なドル/円上昇(152円⇒160円)は、日米実質金利差を反映しておらず、専ら投機によってもたらされました。『円安プチバブル』とも呼べる過剰な円安ですが、それも今後は修正されていくと思われます。

日米実質金利差による試算では、現在の妥当なドル/円水準は148.046円です。

筆者は、米長期金利の大幅な低下≒大幅な米ドル安を見込んでおり、日米実質金利差の縮小に即し、ドル/円は150円を下回っていくでしょう。

そのような局面においては、投機筋と個人投資家の過剰な円売りポジションも解消され、ドル/円の下げは一段と大きくなることが想定されます。

【時間足・エリオット波動分析】
160.135円(4/29)から151.844円(5/3)までの下落(円高)は、「リーディング・ダイアゴナル」による第i波、151.844円からは「ジグザグ」による第ⅱ波とみています。

この第ii波は157.154円(5/29)で終了し、第ⅲ波によるドル安・円高局面に移り始めた可能性があります。この見方が正しければ、当面153.594円(5/16)を試す展開でしょう。

一方、ドル/円の目先上昇が続く場合は、 [158.454円](ジグザグ中a波とc波の長さが等しい)を打診する可能性があります。


[ドルインデックス(ドル指数)]

【週足・エリオット波動分析】 
22年9月高値(114.778)以来、ドルインデックスはA(↘)-B(↗)-C(↘)編成による下落基調にあります。
23年7月安値(99.578)を起点とするB波は、トライアングル(ⓐ-ⓑ-ⓒ-ⓓ-ⓔ)を形成中であり、足元はⓓ波のドル安局面が進行中です。

今後の数週間~2カ月以内にB波は完成し、その後に到来するC波によって、ドル指数は23年安値(99.578)を大きく下回るでしょう。


【日足・エリオット波動分析】 
6月3日、ドル指数はおよそ2カ月ぶり水準(104.045)まで下落し200日MAを下抜きました。それに加え、3月以降で形成された「ヘッド・アンド・ショルダーズ」のネックラインも下回り始めています。

当面ドル指数は、[102.358-100.617]を目指すでしょう。102.358は3月8日安値のことですが、それはⓒ波のドル高に対する61.8%戻り[102.357]にも一致する強いサポートレベル。それはⓓ波の安値として妥当な水準でしょう。


エリオット波動とは
株式・為替動向を予想する心強いテクニカル手法
米国人ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱した、今後の株式や為替など市場価格の動向を予想する手法です。相場は5つの上昇波と3つの下降波(合計8つの波)で一つの周期を作るパターンに従って展開するとされます。
このパターンは集団心理によるもので、数分から数十年といった様々な時間軸において観察されます。
フィボナッチ数列、黄金分割比率をチャート分析に初めて導入したのもエリオットです。



宮田直彦

執筆者プロフィール

宮田直彦(ミヤタナオヒコ)

チーフ・テクニカルアナリスト、マネースクエアアカデミア学長

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