議会選を受けてメキシコペソが急落
2024/06/04 09:20
【ポイント】
・メキシコ議会選では与党連合が圧勝する見通し
・与党連合が憲法改正へと動くことを懸念してメキシコペソには下押し圧力
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は155.939円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.08965ドル、英ポンド/米ドルは1.28046ドル、豪ドル/米ドルは0.66899米ドル、NZドル/米ドルは0.61872米ドルへと上昇しました。米国の5月ISM製造業景況指数が48.7と市場予想の49.6を下回ったことや、米長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルの重石となりました。
※本日4日の『ファンダメ・ポイント』は、[米景気の減速感強まる!? 長期金利は大幅続落]です。
メキシコペソは急落。メキシコペソ/円は一時8.779円へと下落しました。メキシコの大統領選と同時に実施された議会選で、与党連合が圧勝するとの見通しが示されたことが、メキシコペソに対する下押し圧力となりました。
選挙管理委員会の速報値では、議会選で与党連合は下院で3分の2以上の議席を、上院で少なくとも過半数の議席を獲得するとの見通しが示されました。
速報値で示されたMORENA(国家再生運動)など与党3党の獲得議席の見通しは以下の通りです。
上院(定数128議席):合計76~88
下院(定数500議席):合計346〜380
メキシコでは憲法改正には上下両院の3分の2以上の議員の賛成が必要です。与党連合が上下両院で3分の2以上の議席を確保すれば野党の協力なしで憲法を改正することが可能となり、3分の2を確保できなかったとしても憲法改正へのハードルはこれまでよりも下がると考えられます。MORENAはエネルギー分野などにおいて憲法改正へと動くのではないか?と市場は懸念しているようです(*)。
(*)現在のロペスオブラードル大統領は21年に電力の再国有化を目指して憲法改正案を提出しました。改正案には“国内の電力需要の少なくとも54%を国営電力公社のCFEが発電して、民間企業の発電は最大46%に抑える(CFEのシェアを高める)”ことなどが盛り込まれましたが、改正案は野党の反対によって否決されました。
※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、一時4月29日以来の安値を示現!今後の見通しは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の4月JOLTS(労働動態調査)が発表されます(日本時間23:00)。その結果が材料になりそうです。
JOLTSの求人件数の市場予想は834.0万件と、3月の848.8万件から減少するとみられています。市場予想を下回る結果になれば、米国の長期金利が一段と低下するとともに、米ドルが軟調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは上値を試す展開になる可能性があります。米ドル/カナダドルは、200日移動平均線(4日時点で1.35739カナダドル)が目先の下値メドです。
南アフリカの1-3月期GDP(国内総生産)が本日発表されます(日本時間18:30)。GDPの市場予想は前期比0.1%と、成長率は23年10-12月期と同じとなり、2四半期連続でプラス成長になるとみられています。GDPが市場予想を下回る結果になれば、南アフリカランドは軟調に推移する可能性があります。
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