米ドルが堅調、米ドル/円は157円台に上昇
2024/05/29 09:02
【ポイント】
・市場の米利下げ観測が後退するか
・米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局は介入するか
(欧米市場レビュー)
28日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は157.159円、米ドル/カナダドルは1.36498カナダドルへと上昇し、英ポンド/米ドルは1.27529ドル、豪ドル/米ドルは0.66397米ドルへと下落しました。米国の5月消費者信頼感指数が102.0と市場予想の95.9を上回ったことや、米長期金利(10年物国債利回り)の上昇が、米ドルの支援材料となりました。
※本日29日の『ファンダメ・ポイント』は、[米FOMCを控えて、長期金利の上昇は続くか]です。
(本日の相場見通し)
FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者は利下げに慎重な姿勢を示しています。28日には、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が「利下げが適切だと確信するには、さらに数カ月にわたるポジティブなインフレのデータが必要だ」との認識を示しました。また、「利上げを行う確率はかなり低い」としつつも「選択肢から何も排除すべきではない」と述べました。
本日は、ウィリアムズNY連銀総裁が対話集会に参加し、ボスティック・アトランタ連銀総裁は討論会に参加します。また、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます。ベージュブックは次回6月11-12日のFOMCにおける討議資料になります。
ウィリアムズ総裁とボスティック総裁の発言やベージュブックの内容を受けて、FRBの利下げ観測が市場で後退すれば、米ドルが堅調に推移しそうです。その場合には米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になる可能性があります。
安達日銀審議委員が熊本県金融経済懇談会で挨拶し、その後に会見します。挨拶は日本時間10時30分から、会見は14時30分からの予定です。
市場では、日銀は早期に利上げと国債買い入れの減額を行うとの観測があります。安達審議委員がこうした市場の観測を後退させるような発言をすれば、円安が進みそうです。
米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応(為替介入に踏み切るかどうか)に注目です。
本邦当局は“必要と判断すれば為替介入も辞さない”との姿勢です。神田財務官は24日に「過度な為替の変動があれば適切に行動する」、「過度な為替変動が経済に悪影響を及ぼす恐れがある場合、適切な措置をとる必要があるし(それは)許されている」、「必要に応じて、いつ何時でも必要な措置をとる用意がある」などと述べました。
仮に米ドル売り・円買いの為替介入が実施されれば、米ドル/円がいったん大きく下落すると考えられます。
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本日、南アフリカでは総選挙の投開票が行われます(国民議会選挙。定数400議席)。同国では1994年に民主的な選挙が実現されてから30年間、ANC(アフリカ民族会議)が過半数を維持し続けてきました(前回19年の総選挙は230議席を獲得)。ANCは今回苦戦しており、初めて過半数を割り込む可能性もあるようです。その場合、南アフリカランドには下押し圧力が加わるかもしれません。
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