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米ドル/円が一時157円台へ上昇、米財務長官は介入に慎重な姿勢を示す

2024/05/24 09:10

【ポイント】
・米耐久財受注などが材料になりそう
・米ドル/円が上昇する場合、本邦当局の対応は?
・講演でECBの金融政策の先行きについて手掛かりが提供されるか

(欧米市場レビュー)

23日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。米ドル/円は一時157.149円、米ドル/カナダドルは1.37388カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08032ドル、英ポンド/米ドルは1.26841ドル、豪ドル/米ドルは0.65974米ドルへと下落しました。米ドル/円が157円台をつけたのは、1日以来およそ3週間ぶりです。米国の5月のPMI(購買担当者景気指数)が市場予想よりも良好な結果だったことや、米国の長期金利(10年物国債利回り)の上昇が、米ドルの支援材料となりました。

米PMIの結果は、以下のとおり。( )は市場予想です。
・総合PMI:54.4(51.1)
・製造業PMI:50.9(50.0)
・サービス部門PMI:54.8(51.3)

豪ドル/NZドルは一時1.08240NZドルへと下落し、3月21日以来およそ2カ月ぶりの安値をつけました。22日にRBNZ(NZ中銀)が政策金利見通しを上方修正したことなどが、引き続き豪ドル/NZドルに対する下押し圧力となりました。

※政策金利見通しの上方修正について詳しくは、22日の『デイリーフラッシュ』[【速報】NZ中銀会合を受けてNZドルが急伸、豪ドル/NZドルは下落]をご覧ください。

※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、重要な“分水嶺(ぶんすいれい)”に接近!]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

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TCMB(トルコ中銀)は政策金利を50.00%に据え置くことを決定。政策金利を据え置いたのは2会合連続です。

TCMBは声明で、「金融政策の遅行効果を考慮して政策金利を据え置くことを決定したが、インフレリスクに引き続き細心の注意を払う」としました。

声明はまた、「月次のインフレ(率)の基調的なトレンドが大幅かつ持続的に低下するまで、金融引き締めスタンスを維持する」と改めて表明。「今年下半期にはディスインフレが確立される」との見方を示しつつ、「インフレの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合には、金融政策を(さらに)引き締める」としました。

TCMBの政策決定や声明の内容にサプライズはなく、トルコリラに大きな反応はみられませんでした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の4月耐久財受注5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が発表されます。

市場予想は、耐久財受注が前月比マイナス0.8%、ミシガン大学消費者信頼感指数が67.5です。ミシガン大学消費者信頼感指数に関しては、1年先と5年先のインフレ期待にも注目です。5月速報値の結果はそれぞれ3.5%と3.1%でした(本日発表の確報値の市場予想なし)。耐久財受注やミシガン大学消費者信頼感指数が強い結果になれば、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になる可能性があります。

イエレン米財務長官は23日の会見で、為替介入に慎重な姿勢を改めて示しました。イエレン長官は「為替介入は“まれ”であるべきで、(介入を)行う場合には事前に伝達することが適切」との考えを示し、また「(介入は)主に為替市場のボラティリティーへの対応であるべきで、日常的に用いる手段ではない」と述べました。米ドル/円が上昇する場合、本邦当局の対応(為替介入の有無)が注目されます。

G7財務相・中央銀行総裁会議がイタリアのストレーザで開かれています(25日まで)。各国の財務相や中銀総裁が会議後の会見などで為替動向や先行きの金融政策について言及すれば、材料になる可能性があります。

本日は、ECB(欧州中銀)理事会メンバーの発言機会が多くあります。シュナーベルECB専務理事やナーゲル・ドイツ連銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁、センテノ・ポルトガル中銀総裁、バスレ・スロベニア中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁が講演する予定です。

市場では、ECBは次回6月6日の理事会で0.25%の利下げを行うとの見方が大勢。市場の関心はその後の利下げペースへと移りつつあります。シュナーベル専務理事らの講演で7月以降のECBの利下げペースについての手掛かりが提供されれば、ユーロが反応しそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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