米ドル/円が34年ぶり高値を更新、財務相と財務官は円安けん制
2024/04/12 08:54
【ポイント】
・米経済指標でFRBの利下げ観測がさらに後退するか
・米ドル/円が上昇する場合の本邦当局の対応(介入の有無)
(欧米市場レビュー)
11日の欧米時間の外為市場では、米ドルが強含み。米ドル/円は一時153.272円へと上昇し、90年6月以来およそ34年ぶりの高値を更新。米ドル/カナダドルは1.37213カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06972ドルへと下落する場面がありました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
ECB(欧州中銀)は金融政策の現状維持を決定しました。※詳しくは、本日12日の『ファンダメ・ポイント』[ECB理事会は6月利下げに向けて地ならし]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日は米国の4月ミシガン大学消費者信頼感指数が発表されます(日本時間23:00)。ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は79.0と、3月の79.4から低下するとみられています。ヘッドラインの数値の他に1年先と5年先のインフレ期待にも注目です。3月のインフレ期待はそれぞれ、2.9%と2.8%でした(4月分の市場予想なし)。
10日に発表された米国の3月CPI(消費者物価指数)が強い結果だったことで、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退しました。ミシガン大学消費者信頼感指数が強い結果になれば、利下げ観測は一段と後退する可能性があり、その場合には米ドルが堅調に推移しそうです。
鈴木財務相と神田財務官は11日、足もとの円安(米ドル/円の上昇)を改めてけん制しました。鈴木財務相は「過度な変動は望ましくない」、「高い緊張感をもって動きをみている」、「行き過ぎた動きに対してはあらゆるオプションを排除することなく、適切に対応する」と発言。神田財務官は「年初からの変動は大きい」との認識を示し、「(為替の)過度な変動は国民経済に悪影響を与える」、「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せず、適切な対応をとる」と語りました。
米ドル/円が上昇する場合、本邦当局による対応(為替介入を実施するかどうか)に引き続き注目です。
***
ウィリアムズNY連銀総裁やコリンズ・ボストン連銀、バーキン・リッチモンド連銀総裁は11日、早期の利下げに慎重な姿勢を示しました。米ドルにとってプラスと考えられます。
ウィリアムズ総裁は「最終的には利下げが必要になる」としつつも、「極めて近い将来に利下げを行う必要性はない」と発言。コリンズ連銀総裁は「今年後半に利下げが適切になると考えているが、インフレ率が鈍化しているとの確信が強まるにはこれまで考えていた以上に時間がかかる可能性がある」と述べ、「利下げの緊急性は低下している」と語りました。リッチモンド連銀総裁は「最近のインフレに関するデータは、経済全体にわたってインフレ圧力が緩和しているとの確信を強めるものではなく、その点でFRBが望むところに達していない」との認識を示し、「時間をかけるのが賢明だ」と述べました。
本日は、ボスティック・アトランタ連銀総裁やシュミッド・カンザスシティー連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀の発言機会があります。ボスティック総裁らがFRBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりを提供するかどうかに注目です。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。