CPIにメキシコペソが反応!?
2024/04/09 09:05
【ポイント】
・米国の長期金利が一段と上昇するか
・メキシコのCPIでBOMの追加利下げ観測が後退するか
(欧米市場レビュー)
8日の欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は151.899円、ユーロ/円は164.848円、豪ドル/円は100.252円、NZドル/円は91.573円へと上昇しました。ドイツや英国など欧州の主要な株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円の重石となりました。
米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇し、それも米ドル/円の上昇要因となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、日本や米国・ユーロ圏・英国の主要な経済指標の発表はありません。米国の長期金利の動向が材料になりそうです。
米長期金利は8日に一時4.46%へと上昇し、23年11月下旬以来およそ4カ月ぶりの高い水準をつけました。雇用統計など米経済指標の堅調な結果を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)の6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測が五分五分近くまで後退しており、それが米長期金利の上昇要因となっています。次回のFOMCは4月30-31日、その次が6月11-12日です。
※米雇用統計について詳しくは、5日の『ファンダメ・ポイント』[【速報】米雇用統計、NFPは30.3万人増で景気堅調を示唆]をご覧ください。
米長期金利が一段と上昇すれば、米ドルが堅調に推移しそう。米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開が予想されます。
鈴木財務相はこのところ、足もとの円安(米ドル/円の上昇)を繰り返しけん制しています。本日も閣議後の会見で「為替市場(の動向)を高い緊張感をもって注視する」、「行き過ぎた動きにはあらゆる手段で対処する」などと語りました。“足もとの為替市場の動きは過度な変動か?”との質問に対し、鈴木財務相は「コメントは控える」と述べました。米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応に注目です(為替介入が実施されるかどうか)。
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メキシコの3月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:00)。物価の動向はBOM(メキシコ中銀)の金融政策に大きな影響を与えるため、CPIの結果にメキシコペソが反応する可能性があります。
BOMは前回3月21日の政策会合で0.25%の利下げを実施し、政策金利を11.25%から11.00%へと引き下げました。
BOMは声明で先行きの金融政策について、2月の会合時には「入手可能な情報次第で政策金利の調整を検討する」とし、利下げに傾いていました。それが3月の会合では「入手可能な情報に基づいて決定を下す」へと中立に変わり、経済指標の結果次第では次回5月9日の会合で政策金利を据え置く可能性も示しました。
メキシコのCPIの市場予想は、総合指数が前年比4.50%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同4.62%です。総合指数の上昇率は2月の4.40%から高まるとみられ、一方でコア指数の上昇率は2月の4.64%から若干鈍化すると予想されています。BOMのインフレ目標は3%(2~4%が許容レンジ)です。
CPIが市場予想を上回る結果になれば、次回会合での利下げ観測が後退する可能性があり、その場合にはメキシコペソが堅調に推移しそうです。
※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、強気基調が継続するか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。
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