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ユーロ/米ドル・ユーロ/円の行方、ECB理事会

2024/04/05 07:25

【ポイント】
・ラガルド総裁は6月利下げに向けた地ならしを行うか
・FOMCの利下げが後ズレすればユーロ/米ドルの下落要因
・いったん利下げが始まれば、米独短期金利差がユーロ/米ドルに有利!?
・ユーロ/円は米ドル/円から大きな影響を受けそう

4月10-11日、他の主要中銀に先駆けて今年3度目のECB理事会が開催されます。理事会では金融政策の現状維持が決定されそうです。注目は、理事会後のラガルド総裁の記者会見。6月の利下げに向けた地ならしが行われるでしょうか。

4日公表された3月理事会の議事要旨では、利下げ検討の根拠が増えているとの認識が示されました。また、6月までに賃金など重要なデータや情報が入手できると指摘されており、6月理事会での利下げが強く示唆されました。3月CPIは総合が前年比2.4%、コアが2.9%と、いずれも前月(2.6%と3.1%)から伸びが鈍化。4-5月CPIの伸びがさらに鈍化すれば、利下げの強い根拠となりそうです。

ユーロ圏賃金

ユーロ圏CPI

4日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込むECBの6月利下げの確率は96%(今回4月は9%)。

一方、同じくOISに基づけば、米FOMCの6月利下げ確率は74%。本日の3月雇用統計も含めて今後のデータ次第で利下げ観測が7月以降へ後ズレする可能性もありそうです。その場合は、ユーロ/米ドルに下落圧力が加わりそうです。

もっとも、いったん利下げが始まれば、ユーロ/米ドルは(ドイツと米国の)短期金利差を反映しやすいとみられます。Bloombergが集計する市場予想では、米国とドイツの短期金利(2年物国債利回り)の差は米国優位(米>ドイツ)が縮小する見通しです。その通りになれば、ユーロ/米ドルは堅調に推移しそう。

ユーロドルと短期金利差

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ユーロ/円は近年、米ドル/円と非常に強い相関があります。一方で、ユーロ/円とユーロ/米ドルの相関はマチマチ。このことは、ユーロ/円が(ユーロ/米ドルで示される)ユーロ独自の動きというよりは、米ドル/円の影響を強く受けることを示唆しています。

ユーロ 円 ドル


日銀の「緩和維持」の姿勢やFOMCの利下げ観測の後退などから、米ドル/円は151円台での推移が続いています。本邦当局による為替介入の警戒感もあって152円を抜けて上昇を続けるのは難しいかもしれません。FOMCが実際に利下げを開始し、日米の金融政策の方向の差が反映されれば、米ドル/円には下落圧力が加わりそうです。そのため、ユーロ/円も軟調になりそうです。

本日5日夕方ごろ配信のM2TV(#グローバルView)で、本レポートの内容に沿ってユーロ/米ドルとユーロ/円の見通しについて解説する予定です。ぜひご覧ください。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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