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原油価格が5カ月ぶり高値、カナダドルやメキシコペソを支援するか

2024/04/03 08:51

【ポイント】
・米経済指標でFRBの利下げ観測が変化するか
FOMCメンバーは金融政策について新たな手掛かりを提供するか
・原油価格の上昇はカナダドルやメキシコペソにとってプラス

(欧米市場レビュー)

2日の欧米時間の外為市場では、米ドルが弱含み。一時、米ドル/円は151.453円、米ドル/カナダドルは1.35566カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.07737ドル、英ポンド/米ドルは1.25749ドルへと上昇しました。米ドルが弱含むような材料は特になく、ポジション調整が中心と考えられます。

米国の2月JOLTS(労働動態調査)の求人件数は875.6万件と、市場予想の875.0万件を上回ったものの、市場の反応は限定的でした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の3月ADP雇用統計や3月ISM非製造業景況指数が発表されます。

市場予想は、ADP雇用統計が前月比14.8万人増、ISM非製造業景況指数が52.7。ADP雇用統計は2月の14.0万人から増加のペースが若干高まり、ISM非製造業景況指数は2月の52.6からわずかに上昇するとみられています。市場予想を上回る結果になれば、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退する可能性があります。その場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

鈴木財務相と神田財務官は足もとの円安(米ドル/円の上昇)について、「ファンダメンタルズを反映していない」、「投機的な動き」、「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せず、適切な対応をとる」などの発言を繰り返し、市場をけん制しています。米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応(為替介入の有無)に注目です。

本日、パウエルFRB議長が経済見通しについて講演します。また、FRBのバー副議長(銀行監督担当)やクグラー理事、シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言機会もあります。

パウエル議長は3月29日に「利下げを行う前に、(米国の)インフレ率の鈍化が進むことを、より確信する必要がある」、「利下げを急ぐ必要はない」などと述べました。パウエル議長らFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーがFRBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりを提供すれば、材料になりそうです。

***

原油価格が上昇しています。WTI原油先物の中心限月の5月物は2日、前月比1.44ドル高(1.72%)の1バレル=85.15ドルで取引を終了。中心限月の清算値(終値に相当)としては、23年10月下旬以来およそ5カ月ぶりの高値をつけました。

足もとの原油価格上昇の要因には、中東情勢の緊迫化への懸念や、堅調な米国と中国の経済指標などがあるようです。米国の3月ISM製造業景況指数は50.3と、市場予想の48.4を上回り、業況判断の分かれ目である50を1年半ぶりに超えました。中国の3月の製造業PMI(購買担当者景気指数。国家統計局発表)は50.8、財新製造業PMIは51.1と、いずれも市場予想(49.9と51.0)を上回りました。

カナダドルやメキシコペソは、原油価格の動向に影響を受けやすいという特徴があります。原油価格の上昇が続く場合、カナダドルやメキシコペソの支援材料になりそうです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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