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米PCE、懸念されるインフレ改善の遅れ!?

2024/03/30 06:48

【ポイント】
・2月PCEはインフレ改善の遅れを示唆
・グッドフライデーで為替市場の反応は限定的
・週明け4月1日に市場はどう反応するか

米国の2月のPCE(個人消費支出)デフレーターは前年比2.5%と、前月の2.4%からやや加速、市場予想と同じでした。食料とエネルギーを除くコアは同2.8%と、前月の2.9%(当初発表の2.8%から上方改定)から減速したものの、こちらも市場予想と同じでやや高めでした。

米PCE

PCEコアデフレーターは1月に前月比0.4%と伸びが高まりました。2月は同0.3%に鈍化したものの、3カ月前比年率でみれば3.5%でした。3カ月前比年率は変化を早く捉えることができる一方で、変動が大きいためダマシも多く、割り引いてみる必要はあります。それでも、インフレ改善の遅れの兆候は気になるところです。

米PCE前月比

米PCE短期変化

労働コストを強く反映するとしてFRBが注目するPCEコアサービス(住居費を除く)は前年比3.3%と、前月(3.5%)から伸びが鈍化しました。ただ、依然として物価目標の2%を大きく上回っており、またCPIベースでは伸びが高まっているため、安心はできません。

PCEコアサービス 住居費除く

なお、PCE(個人消費支出)は前月比0.8%、実質ベースでは同0.4%と堅調でした。失速が懸念された個人消費ですが、年明け後も堅調を維持しているようです。株価上昇などの良好な金融環境が消費マインドの改善に寄与しているのかもしれません。アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、29日時点で1-3月期GDPは前期比年率2.3%、GDPの7割近くを占める個人消費は同2.6%と、いずれも良好な予測となっています。

29日はイースター(復活祭)絡みのグッドフライデーのため、米国の株式・債券市場は休場でした。そのため、米ドル/円もPCEにはほとんど反応しませんでした。週明け4月1日に株や債券がPCEにどう反応するか、興味深いところでしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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