パウエル証言とベージュブック、6月利下げ観測に変化なし!?
2024/03/07 08:13
【ポイント】
・パウエル議長は早期利下げに慎重姿勢!?
・それでも市場は引き続き6月利下げを予想
・景気や物価の重要なカギを握る雇用は比較的堅調
パウエルFRB議長の証言やベージュブック(地区連銀経済報告)を受けて、市場の利下げ観測に大きな変化はありませんでした。6日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は6月までの利下げを80%以上の確率で織り込んでいます。市場のメインシナリオ(確率50%超)は、「6月、9月、11月、25年1月にそれぞれ0.25%の利下げ」です。
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パウエル議長は6日、下院金融サービス委員会で金融政策について証言。「政策金利はピークに達した可能性が高く、年内に利下げするのが適切になるだろう」と述べました。また、「早すぎる、大きすぎる」利下げも「遅すぎる、小さすぎる」利下げも経済に悪影響があるとしたうえで、「インフレ率が2%に向けて安定的に進むともっと確信が持てるまで利下げは適切でない」との従来のメッセージを繰り返しました。
パウエル議長は足もとの景気に関して、労働市場の堅調が背景にあるとして、差は縮まったものの、引き続き労働者の需要が供給を上回っている点を指摘しました(※)。
パウエル議長は議員からの質問に答えて、リセッション(景気後退)のリスクは高まっていないと述べる一方で、商業不動産の問題は注視しているとしました。
また、銀行監督に関して、大手銀行の資本規制を強化する方向であることを改めて説明しました。
(※)1月のJOLTS(労働動態調査)によれば、求人数は886.3万人と前月から2.6万人減少しました。一方で、求人倍率(求人数÷失業者数)は1.45倍で、前月の1.42から上昇しました。

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ベージュブック(地区連銀経済報告)によれば、「経済活動はわずかに拡大」し、(全12地区のうち)「8地区がわずか、あるいは緩やかな成長。3地区は変化なし。1地区はわずかに軟化」とのこと。ただ、先行きの見通しについては比較的ポジティブでした。
個人消費は、価格上昇の影響もあって小売は弱め。旅行は好調でしたが、レストランや宿泊、娯楽施設などは高価格や一部で悪天候の影響を受けました。
製造業活動は総じて横ばい。サプライ・チェーンは一段と正常化。紅海やパナマ運河の航行困難は大きな問題にはなっていないものの、国際的な輸送コストの上昇圧力が高まっているとの指摘はありました。
長期金利の低下により住宅市場にやや改善がみられたものの、在庫不足が住宅販売を抑制。商業不動産はオフィスを中心に軟調でした。
雇用はわずかに増加。全ての地区で労働市場は小緩み、一部の熟練労働者を除き採用や引き留めが容易になりました。賃金は引き続き上昇したものの、数地区ではそのペースが鈍りました。
物価上昇圧力は根強かったものの、数地区でインフレの鈍化が報告されました。企業はコスト上昇分の価格転嫁が一段と難しくなったとのこと。鉄鋼、セメント、紙、燃料など多くの投入コストは下落しました。
・パウエル議長は早期利下げに慎重姿勢!?
・それでも市場は引き続き6月利下げを予想
・景気や物価の重要なカギを握る雇用は比較的堅調
パウエルFRB議長の証言やベージュブック(地区連銀経済報告)を受けて、市場の利下げ観測に大きな変化はありませんでした。6日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は6月までの利下げを80%以上の確率で織り込んでいます。市場のメインシナリオ(確率50%超)は、「6月、9月、11月、25年1月にそれぞれ0.25%の利下げ」です。
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パウエル議長は6日、下院金融サービス委員会で金融政策について証言。「政策金利はピークに達した可能性が高く、年内に利下げするのが適切になるだろう」と述べました。また、「早すぎる、大きすぎる」利下げも「遅すぎる、小さすぎる」利下げも経済に悪影響があるとしたうえで、「インフレ率が2%に向けて安定的に進むともっと確信が持てるまで利下げは適切でない」との従来のメッセージを繰り返しました。
パウエル議長は足もとの景気に関して、労働市場の堅調が背景にあるとして、差は縮まったものの、引き続き労働者の需要が供給を上回っている点を指摘しました(※)。
パウエル議長は議員からの質問に答えて、リセッション(景気後退)のリスクは高まっていないと述べる一方で、商業不動産の問題は注視しているとしました。
また、銀行監督に関して、大手銀行の資本規制を強化する方向であることを改めて説明しました。
(※)1月のJOLTS(労働動態調査)によれば、求人数は886.3万人と前月から2.6万人減少しました。一方で、求人倍率(求人数÷失業者数)は1.45倍で、前月の1.42から上昇しました。

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ベージュブック(地区連銀経済報告)によれば、「経済活動はわずかに拡大」し、(全12地区のうち)「8地区がわずか、あるいは緩やかな成長。3地区は変化なし。1地区はわずかに軟化」とのこと。ただ、先行きの見通しについては比較的ポジティブでした。
個人消費は、価格上昇の影響もあって小売は弱め。旅行は好調でしたが、レストランや宿泊、娯楽施設などは高価格や一部で悪天候の影響を受けました。
製造業活動は総じて横ばい。サプライ・チェーンは一段と正常化。紅海やパナマ運河の航行困難は大きな問題にはなっていないものの、国際的な輸送コストの上昇圧力が高まっているとの指摘はありました。
長期金利の低下により住宅市場にやや改善がみられたものの、在庫不足が住宅販売を抑制。商業不動産はオフィスを中心に軟調でした。
雇用はわずかに増加。全ての地区で労働市場は小緩み、一部の熟練労働者を除き採用や引き留めが容易になりました。賃金は引き続き上昇したものの、数地区ではそのペースが鈍りました。
物価上昇圧力は根強かったものの、数地区でインフレの鈍化が報告されました。企業はコスト上昇分の価格転嫁が一段と難しくなったとのこと。鉄鋼、セメント、紙、燃料など多くの投入コストは下落しました。
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