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米PCEデフレーターに注目!

2024/02/29 09:00

【ポイント】
PCEデフレーターでFRBの利下げ観測が後退するか
・高田審議委員は金融政策の先行きについてのヒントを示すか

(欧米市場レビュー)

28日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は150.798円、米ドル/カナダドルは1.36014カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.07947ドル、英ポンド/米ドルは1.26197ドル、豪ドル/米ドルは0.64869米ドルへと下落しました。米国のPCE(個人消費支出)デフレーターの発表を前に、ポジション調整が中心との見方があります。

NZドルは軟調。一時、NZドル/円は91.683円、NZドル/米ドルは0.60808米ドルへと下落しました。RBNZ(NZ中銀)は政策金利を5.50%に据え置くことを決定。市場では0.25%の利上げを行うとの観測もあったことが、NZドル安圧力となりました。RBNZが政策金利見通しを23年11月時点から下方修正したことも、NZドルの下押し要因でした。

※RBNZの政策会合について詳しくは、28日の『デイリーフラッシュ』[【PM】NZ中銀は政策金利を据え置き、NZドルが急落]をご覧ください。

(本日の相場見通し)

本日は、インフレ指標である米国の1月PCE(個人消費支出)デフレーターが発表されます(日本時間22:30)。物価の動向はFRB(米連邦準備制度理事会)の政策判断に大きな影響を与えるため、注目です。

市場では、FRBが6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利下げを行うとの見方が有力です。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む利下げの確率は、次回3月19-20日のFOMCで2.5%、4月30日-5月1日までで20%程度、6月11-12日までで63%程度です。

PCEデフレーターの市場予想は、総合指数が前年比2.4%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同2.8%です。市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が後退しそう。その場合には米ドルが買われて、米ドル/円や米ドル/カナダドルは堅調に推移し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは軟調に推移すると考えられます。

ドイツの2月CPI(消費者物価指数)速報値が発表されます(日本時間22:00)。CPIの市場予想は、EU(欧州連合)基準が前年比2.7%、国内基準が同2.6%と、上昇率はいずれも前月(3.1%と2.9%)から鈍化するとみられています。

市場では、ECB(欧州中銀)が6月に利下げを行うとの見方が有力です(3月7日と4月11日の理事会については、政策金利の据え置きを予想)。ドイツのCPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、ユーロが軟調に推移する可能性があります。

高田・日銀審議委員が滋賀県金融経済懇談会に出席します。午前10時30分から懇談会で挨拶し、午後2時から会見する予定です。日銀のマイナス金利解除の時期や、解除後の金融政策運営についてのヒントが示されれば、材料になる可能性があります。

神田財務官は本日午前(日本時間)、「為替相場はファンダメンタルズに沿って安定的に動くことが望ましい」「行き過ぎた為替の変動に適切に対応するため、緊張感をもってみている」と述べ、円安(米ドル/円の上昇)をけん制しました。その一方で、「現在の為替の動向についてはコメントしない」とも語りました。神田財務官の発言への市場の反応は、今のところ限定的です。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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