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英CPIは弱め。GDPも弱ければ6月利下げ?

2024/02/15 08:15

【ポイント】
・英CPIはやや弱め、BOEの想定通り一段と鈍化するか
・15日発表の英GDPも弱ければ、6月利下げの観測が高まりそう
・ただし、賃金が鈍化しなければ、BOEは物価目標達成に自信を持てないかも

英国の1月CPI(消費者物価指数)は前年比4.0%、エネルギー・食料・たばこなどを除くコアは同5.1%。いずれも市場予想(4.1%、5.2%)を下回り前月と同じでした。また、BOE(英中銀)が賃金との関係で重視するCPIサービスは前年比6.5%と、前月(6.4%)から加速しましたが、市場予想(6.8%)は下回りました。

英CPI

14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場が織り込むBOEの3月20-21日のMPC(金融政策委員会)での利下げ確率は4%。5月8-9日のMPCまでの利下げ確率は26%。6月19-20日のMPCまでの利下げ確率は65%です。また、市場のメインシナリオ(確率50%超)は、「6月に利下げ開始、その後は1回ずつ飛ばして9月と12月に利下げ」というものです。

15日(日本時間16:00)発表の昨年10-12月期のGDPが市場予想通り(マイナス0.1%)であれば、7-9月期(マイナス0.1%)に続き2期連続でマイナスとなり、定義リセッション(景気後退)と判断されます。その場合、BOEの利下げ観測が一段と強まるかもしれません。

もっとも、BOEが強く警戒しているのは、根強い賃金上昇によるインフレ圧力です。13日に発表された昨年12月の週平均賃金は前年比6.2%と、前月(6.7%)から伸び率が鈍化したものの、市場予想(6.0%)を上回りました。

英CPIと賃金

BOEは食品やエネルギーが高騰した昨春の反動で今春のインフレ率は2%程度まで鈍化するとみています。ただし、賃金上昇率が2%の物価目標と整合的な3%程度まで低下しないと、BOEは物価目標の持続的・安定的な達成は難しいと判断しそうです。その場合、政策金利は市場予想より長く現行水準に維持されるかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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