24年スタートの注目ポイント:地政学リスク
2023/12/29 07:16
※ファンダメ・ポイントは新年1月3日より再開する予定です。
皆様におかれましては、良いお年をお迎えください!
24年のスタートにおける注目ポイントを概観しておきましょう。28日の「主要国の金融政策・経済情勢」に続いて、今回は「地政学リスク」です。過去の経験では、市場でリスクオフ(リスク回避)に傾けば、円や米ドル、ユーロといった主要通貨が堅調となり、非常に強いリスクオフでは円が独り勝ちとなってきました。
■2024年の為替・株「大予想」が22日にリリースされています。ぜひご覧ください。
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24年初頭には選挙関連のイベントが相次ぎます。
1月13日 台湾総統・立法院選挙
1月15日 アイオワ州共和党党員集会(コーカス)
1月23日 ニューハンプシャー州予備選(プライマリー)
3月4日 トランプ裁判「選挙妨害(議会襲撃)」初公判
3月5日 スーパーチューズデー(カリフォルニア、テキサスなど16州で予備選)
3月17日 ロシア大統領選挙
米議会情勢と大統領予備選
11月に大統領選挙を控えて、民主党と共和党の党派的な対立は先鋭化しやすくなります。さらに、昨年のデットシーリング問題や継続(つなぎ)予算の審議で禍根を残したため、議会情勢は波乱含みです。そうしたなか、継続予算は1月19日(一部は2月2日)に期限が到来します。議会召集は、上院が8日、下院が9日。継続予算の期限切れまで議会開催日数はそれほど多くありません。議会が対応を誤れば、シャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。軍事費が払底しつつあるとされるウクライナへの支援がどうなるかも注目されます。
大統領予備選は、早ければ3月5日のスーパーチューズデーで両党の指名候補が事実上決まるかもしれません。短期決戦となりうるだけに、フロントランナー(先行者)が優勢でしょう。ただ、現時点で他候補を大きく引き離しているバイデン大統領にしても、トランプ前大統領にしても高齢なだけあって、情勢が急変しないとも限りません(トランプ氏が抱える訴訟の初公判もあります)。バイデン氏に対するトランプ氏の優勢が明らかになるならば、市場は「トランプ政権」の政策を想定せざるを得なくなるでしょう。
ロシア・ウクライナ戦争とロシア大統領選挙
ロシアのウクライナ侵攻は2月24日で丸2年が経過しますが、先行きは依然として予断を許しません。3月のロシア大統領選ではプーチン氏の通算5選が確実視されています。反体制派ナワリヌイ氏はモスクワ近郊からシベリアの収容所に移送。選挙管理委員会が反戦ジャーナリスト・ドゥンツォワ氏の政党の登録を拒否したため、同氏の立候補は困難に。そして、民主派政治家の大物ヤブリンスキー下院議員は不出馬を表明しました。サプライズが起こる余地もなさそうですが、ウクライナ戦争の戦況は大統領選挙に影を落とすでしょうか(逆もまたしかり?)。
台湾総統・立法院選挙と中国
台湾総統選挙では、与党民進党の頼副総統が、最大野党国民党の候新北市長をリードしているようです。ただ、台湾の統合を進めたい中国が、親米の与党ではなく中国との関係も重視する野党を支援して選挙に干渉する可能性も否定できません。選挙の経緯や結果が台湾海峡、ひいては米中間の緊張を高める可能性もあり、注意深く見守る必要がありそうです。
緊迫化する中東情勢と原油価格
ハマスのイスラエル攻撃と、イスラエルによるガザ地区への報復により、中東情勢が一気に緊迫化しました。イスラエルに対して、ガザ地区のイスラーム聖戦やレバノンのヒズボラも攻撃に参加。紅海ではイエメンのフーシ派がイスラエルや親イスラエル国に関連した艦船を攻撃しています。そして、それらの背後にはイランの影が見え隠れしています。現時点では、紛争は局地的ですが、イランやその他の産油国にも何らかの影響が及ぶかもしれません。原油価格は比較的落ち着いているものの、冬場の需要期に原油価格が急騰する事態ともなれば、すでにリセッション(景気後退)入りした可能性が高いユーロ圏などを中心に世界経済への大きな下押し圧力となりそうです。
皆様におかれましては、良いお年をお迎えください!
24年のスタートにおける注目ポイントを概観しておきましょう。28日の「主要国の金融政策・経済情勢」に続いて、今回は「地政学リスク」です。過去の経験では、市場でリスクオフ(リスク回避)に傾けば、円や米ドル、ユーロといった主要通貨が堅調となり、非常に強いリスクオフでは円が独り勝ちとなってきました。
■2024年の為替・株「大予想」が22日にリリースされています。ぜひご覧ください。
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24年初頭には選挙関連のイベントが相次ぎます。
1月13日 台湾総統・立法院選挙
1月15日 アイオワ州共和党党員集会(コーカス)
1月23日 ニューハンプシャー州予備選(プライマリー)
3月4日 トランプ裁判「選挙妨害(議会襲撃)」初公判
3月5日 スーパーチューズデー(カリフォルニア、テキサスなど16州で予備選)
3月17日 ロシア大統領選挙
米議会情勢と大統領予備選
11月に大統領選挙を控えて、民主党と共和党の党派的な対立は先鋭化しやすくなります。さらに、昨年のデットシーリング問題や継続(つなぎ)予算の審議で禍根を残したため、議会情勢は波乱含みです。そうしたなか、継続予算は1月19日(一部は2月2日)に期限が到来します。議会召集は、上院が8日、下院が9日。継続予算の期限切れまで議会開催日数はそれほど多くありません。議会が対応を誤れば、シャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。軍事費が払底しつつあるとされるウクライナへの支援がどうなるかも注目されます。
大統領予備選は、早ければ3月5日のスーパーチューズデーで両党の指名候補が事実上決まるかもしれません。短期決戦となりうるだけに、フロントランナー(先行者)が優勢でしょう。ただ、現時点で他候補を大きく引き離しているバイデン大統領にしても、トランプ前大統領にしても高齢なだけあって、情勢が急変しないとも限りません(トランプ氏が抱える訴訟の初公判もあります)。バイデン氏に対するトランプ氏の優勢が明らかになるならば、市場は「トランプ政権」の政策を想定せざるを得なくなるでしょう。
ロシア・ウクライナ戦争とロシア大統領選挙
ロシアのウクライナ侵攻は2月24日で丸2年が経過しますが、先行きは依然として予断を許しません。3月のロシア大統領選ではプーチン氏の通算5選が確実視されています。反体制派ナワリヌイ氏はモスクワ近郊からシベリアの収容所に移送。選挙管理委員会が反戦ジャーナリスト・ドゥンツォワ氏の政党の登録を拒否したため、同氏の立候補は困難に。そして、民主派政治家の大物ヤブリンスキー下院議員は不出馬を表明しました。サプライズが起こる余地もなさそうですが、ウクライナ戦争の戦況は大統領選挙に影を落とすでしょうか(逆もまたしかり?)。
台湾総統・立法院選挙と中国
台湾総統選挙では、与党民進党の頼副総統が、最大野党国民党の候新北市長をリードしているようです。ただ、台湾の統合を進めたい中国が、親米の与党ではなく中国との関係も重視する野党を支援して選挙に干渉する可能性も否定できません。選挙の経緯や結果が台湾海峡、ひいては米中間の緊張を高める可能性もあり、注意深く見守る必要がありそうです。
緊迫化する中東情勢と原油価格
ハマスのイスラエル攻撃と、イスラエルによるガザ地区への報復により、中東情勢が一気に緊迫化しました。イスラエルに対して、ガザ地区のイスラーム聖戦やレバノンのヒズボラも攻撃に参加。紅海ではイエメンのフーシ派がイスラエルや親イスラエル国に関連した艦船を攻撃しています。そして、それらの背後にはイランの影が見え隠れしています。現時点では、紛争は局地的ですが、イランやその他の産油国にも何らかの影響が及ぶかもしれません。原油価格は比較的落ち着いているものの、冬場の需要期に原油価格が急騰する事態ともなれば、すでにリセッション(景気後退)入りした可能性が高いユーロ圏などを中心に世界経済への大きな下押し圧力となりそうです。
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