マネースクエア マーケット情報

24年スタートの注目ポイント:主要国の金融政策・経済情勢

2023/12/28 08:10

あと数日で23年が終わり、24年が始まります。24年スタートにおける注目ポイントを概観しておきましょう。

2024年の為替・株「大予想」が22日にリリースされています。ぜひご覧ください。

*******
主要国の金融政策
12月27日時点でOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む当面の金融政策見通しは下表の通り。

主要中銀の金融政策見通し

24年最初の政策会合ではいずれも政策変更回数は0.2回未満(=変更確率20%未満)であり、据え置きがほぼ確実視されています。

FRBについては、3月と5月の利下げがいずれも確実視(確率100%超)されています。一方で、ECBは3月の利下げ確率が7割弱、BOE(英中銀)は同4割なので、24年初からの材料次第では、ECBが3月利下げ開始、BOEは5月利下げ開始との現時点での市場の観測は逆になる可能性もありそうです。

BOJ(日銀)に関しては、ここもと植田総裁の講演や「金融政策決定会合における主な意見」から利上げを急がない意向が示されています。したがって、現時点で市場が織り込む利上げ確率は、春闘の結果がはっきりする4月時点でも54%とほぼ五分五分です。

今後の材料次第で、市場が織り込む上記の確率がどう変化するか、引き続き要注目です。年初の主な材料は・・・

FRB:
1月 3日 バーキン・リッチモンド連銀総裁の講演(経済見通しについて)
     FOMC議事録(12月13-14日)
   5日 バーキン総裁の講演
   6日 ローガン・ダラス連銀総裁の講演
   8日 ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演(24年の経済見通しについて)
  12日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の講演

 FOMC議事録では、パウエル議長が12月13日の会見で述べた「利下げのタイミングを協議」の中身が明らかになるでしょうか。

BOE・BOJ・ECB:
BOEやBOJについては年初にイベントはなく、ECBについても11日のブイチッチ・クロアチア中銀総裁の講演を除けば予定はありません。

主要国の経済情勢
いずれの国・地域も景気の減速がどの程度かが大きなポイントです。経済指標は年明けから通常通り発表されます。なかでも注目は以下。

米国:
1月 5日 雇用統計(12月分)
  11日 CPI(同)
  中旬  ベージュブック:地区連銀経済報告
  25日 GDP(10-12月期)

米マスターカードによれば、ホリデー期間(11/1-12/24)の自動車を除く小売売上高は前年比3.1%増とやや低調。前年同期は7.6%増でした。他方、12月22日時点のアトランタ連銀GDPNow(短期予測モデル)によれば、10-12月期のGDPは前期比年率2.3%、同じく個人消費は2.4%。いずれも実質ベース(インフレ控除後)なので、さほど悪くありません。

5日の雇用統計については、NFP(非農業部門雇用者数)の市場予想が前月比17.0万人増。10.0万人やそれを下回るようであれば、景況感が大きく悪化するかもしれません。

ユーロ圏:
1月 5日 CPI(12月分速報値)
  30日 GDP(10-12月期)

ユーロ圏は7-9月期のGDPが前期比-0.1%とマイナス成長でした。2四半期連続でマイナスになると、簡便的にはリセッション(景気後退)と定義されます。

英国:
1月16日 週平均賃金(11月分)
   17日 CPI(12月分)

賃金とインフレのスパイラル的上昇を懸念してきたBOEにとって、足もとで賃金やCPIが目立って鈍化していることは明るい材料です。その傾向は年明け後の経済指標でも確認できるか。

日本:
本格化する24年度の賃金交渉の行方が金融政策の重要な判断材料になることはBOJ自らが認めているところ。植田総裁は12月14日の会見で、「1月(22-23日の)会合での政策修正の可能性は、そこまでに入ってくる情報次第だが、(情報は)そんなに多くない」と述べ、1月の変更に消極的な見解を示していますが、果たしてどうでしょうか。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ