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米国はゴルディロックスか

2023/12/21 08:02

【ポイント】
・米経済が底堅さをみせる一方で、利下げ観測は根強い
・NYダウは19日まで6営業日連続で最高値を更新
・「ゴルディロックス」は続き得るのか

米国の12月コンファレンスボード消費者信頼感指数は110.7と、前月の101.0(速報値102.0)から上昇、市場予想(104.5)も大きく上回りました。指数の水準自体は高くありませんが、前月からの上昇幅は21年3月以来の大きさとのこと。

米消費者信頼感

19日時点のアトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、10-12月期のGDPは前期比年率2.7%と予測されています。非常に強かった7-9月期(5.2%)からは減速しているものの、悪くないペースです。景気の勢いをみるうえで適切な国内民間最終需要(=個人消費+設備投資+住宅投資)の寄与度(※)は10-12月期に2.6%と予想されており、7-9月期(2.9%)とそん色ありません。

(※)GDPのうち何%分を押し上げた(押し下げた)かをみたもの。

米GDP予想

パウエルFRB議長が早期利下げの可能性に言及し、一方で米経済が底堅さをみせているため、市場では楽観論が台頭しています。NYダウは20日こそ大きく下げたものの、前日まで6営業日連続で最高値を更新していました。また、長期金利(10年物国債利回り)は3.85%と、7月下旬以来の水準まで低下しました。22年春の利上げ前にも喧伝された「ゴルディロックス(※)」が足もとでも実現しているかのようです。

(※)景気が落ち込むでも、利上げが必要なほど過熱するでもない、適度な状況。株価にとって最適の環境。

■米ドル/円のテクニカル分析は、「米ドル/円、200日MAが“分水嶺”となりそう!“猫の目相場”が継続するか」をご覧ください。

OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場では24年3月から11月までの6回のFOMC全てで0.25%の利下げが織り込まれています(確率50%超)。しかし、株価の上昇や市場金利の低下は金融状況の改善であり、それら自体は利下げの必要性を低下させるものです。

果たして、今後も「ゴルディロックス」と言えるような状況が続き得るのか、大いに注目です。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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