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英CPIに英ポンドが反応か

2023/12/20 08:53

【ポイント】
・英CPIBOEの利下げ観測が後退するか
・主要国株価が堅調に推移すれば、リスクオンが強まる可能性も

(欧米市場レビュー)

19日の欧米時間の外為市場では、が軟調に推移。一時、米ドル/円は144.945円、ユーロ/円は158.532円、豪ドル/円は97.517円、NZドル/円は90.298円へと上昇しました。植田日銀総裁が会見でマイナス金利の解除など金融政策の修正を急がない姿勢を示したことで、市場では早期の金融政策の修正観測が後退し、円安圧力となりました。

※植田総裁の会見について詳しくは、19日の『ファンダメ・ポイント』[【速報】植田総裁会見、「金利(きんり)」ではなく「気(き)」を引き締めて・・]をご覧ください。

カナダドルは堅調。米ドル/カナダドルは一時1.33292カナダドルへと下落し、8月4日以来、4カ月半ぶりの安値を記録。カナダドル/円は108.214円へと上昇する場面がありました。カナダの11月CPI(消費者物価指数)が前年比3.1%と、市場予想の2.9%を上回ったことが、カナダドルの支援材料となりました。

(本日の相場見通し)

本日、英国の11月CPIが発表されます(日本時間16:00)。CPIの市場予想は、総合指数が前年比4.4%、食品・エネルギー・アルコール・たばこを除いたコア指数は同5.6%。BOE(英中銀)のインフレ目標である2%を引き続き上回るものの、上昇率は10月の4.6%と5.7%から鈍化するとみられています。

BOEは早ければ24年5月に利下げを開始するとの観測が市場にはあります。CPIが市場予想を上回る結果になれば、利下げ観測が後退するとともに、英ポンドが堅調に推移しそうです。英ポンド/米ドルや英ポンド/円は上昇し、一方でユーロ/英ポンドは下落すると考えられます。ユーロ/英ポンドは、0.85494ポンド(12/11安値)が下値メドです。

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米国の11月中古住宅販売件数や12月消費者信頼感指数が本日発表されます(日本時間24:00)。市場予想は、中古住宅販売件数が年率換算378万件、消費者信頼感指数が104.0です。

先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が市場で強まっており、米ドル安圧力が加わりやすくなっています。中古住宅販売件数などが市場予想を下回る結果になれば、米ドル安圧力は一段と強まる可能性があります。

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FRBの利下げ観測に支えられて米国株が上昇しています。19日の米株式市場では、ダウが前日比251.90ドル(0.68%)高の37,557.92ドルで取引を終了。5営業日連続で史上最高値を更新しました。また、ナスダックは前日比98.03ポイント(0.66%)高の15,003.22ポイント、S&P500は同27.81ポイント(0.59%)高の4,768.37ポイントで取引を終えました。

米国など主要国の株価が堅調に推移すれば、リスクオン(リスク選好)の動きが強まるかもしれません。リスクオンは円や米ドルにとってマイナスになると考えられるため、リスクオンが強まる場合には、円安や米ドル安が進む可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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