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FRB、BOE、ECB、BOJ最新の金融政策見通し

2023/12/20 08:00

【ポイント】
・19日時点でFRB、BOE、ECBのいずれも、政策会合前より利下げ観測が高まった
・日銀の利上げ観測はやや後退
・今後の経済データ等で金融政策見通しがどう変化するかが為替相場に影響しそう

12月13—14日に米FRB、BOE(英中銀)、ECB(欧州中銀)の政策会合の結果が判明。19日には日銀金融政策決定会合の結果が出ました。それら主要中銀の年内最後の会合が終了したので、現時点で市場が織り込む金融政策をチェックしておきましょう。

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いずれの中銀も金融政策の現状維持を決定しました。

パウエルFRB議長は「(この会合で)利下げのタイミングを検討した」と述べ、早期の利下げに含みを持たせました。

これに対して、ベイリーBOE総裁は「(インフレ抑制のために)まだ進むべき道のりがある」、ラガルドECB総裁はより直接的に「絶対にガードを下げてはならない」、「利下げの議論は全くしなかった」と述べ、高金利を維持する意向を示唆しました。

BOJ(日銀)の植田総裁は「1月会合での政策修正の可能性はそこまでに入ってくる情報次第だが、(情報は)そんなに多くない」と利上げを急がない姿勢を示しました。

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19日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場が50%超の確率で織り込むメインシナリオは以下の表の通りです(下表は政策会合前、8日時点のメインシナリオ)。総裁がタカ派的発言をしたBOEやECBについても、8日時点より利下げ観測は高まりました。

金融政策見通し 会合後

金融政策見通し 会合前

FRB:24年3月の利下げ開始が約8割の確率で織り込まれており、11月まで6回のFOMCで5回計1.25%の利下げが織り込まれています。8日時点と比べて、利下げ開始が1会合早まり、11月までの回数も1回増えました。

ECB:4月に利下げ開始、10月までに0.25%×6回分の利下げが織り込まれています。ただ、(50%超とのルールに従えば)据え置き予想の3月も利下げ確率は49%であり、また6月に0.50%の利下げが織り込まれているので、「3月から10月まで6回の会合全てで0.25%の利下げ」と解釈すべきかもしれません。10月までの利下げ回数は8日時点より1回増えました。

BOE:5月に利下げ開始、11月までに0.25%×4回の利下げが織り込まれています。

BOJ:8日時点で55%だった1月利上げの確率は19日時点で43%に低下。利上げタイミングは1会合後ズレしました。3月に利上げに次いで、9月にも利上げが織り込まれています。

金融政策に着目すれば、円が米ドル、ユーロ、英ポンドに対して上昇すると考えるのが妥当でしょう。また、利下げのタイミングの早さでは、FRB>ECB=BOEの順。利下げ幅では、ECB>FRB>BOEの順になっています。今後の経済データなどでそうした観測がどう変化するかが重要になりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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