パウエル議長のメッセージ
2023/12/04 08:06
【ポイント】
・パウエル議長は早期利下げ観測をけん制
・ただし、市場は「(政策金利は)かなり抑制的」との発言に反応か
・市場は24年3月の利下げを73%織り込み、11月までに5回の利下げを予想!?
パウエル米FRB議長は1日、ジョージア州アトランタのスペルマン大学で学長と対談しました。議長は学生たちに対して、景気は減速しているけれども、労働市場は堅調であり、これから卒業後の職探しをする学生にとっては良い環境だとエールを送りました。
用意された講演原稿は、現在の政策金利に満足を示す一方で、市場の早期利下げ観測をけん制する内容でした。しかし、市場は、追加利上げはないと確信し、24年の早い段階で利下げがあるとの見方に傾いたようです。
1日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は24年3月の利下げを73%の確率で織り込んでいます(11月30日時点では53%)。また、メインシナリオ(確率50%超)は「24年3月、6月、7月、9月、11月にそれぞれ0.25%の利下げ」と、24年11月までの利下げ回数の予想が前日の4回から5回(計1.25%)に増えました。
アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、1日時点で10-12月期GDPは前期比年率1.2%と予測されており、11月22日時点の2.1%、同30日時点の1.8%から下方修正されました。個人消費やISM製造業景況指数の軟調が主な背景です。11月のISM指数は46.7と前月と同じ。ISMによれば10-11月の水準が続けば、GDPマイナス0.7%と整合的とのことです。
このまま景気減速感が一段と強まるのか、9月1日以来となる4.2%割れを示現した長期金利(10年物国債利回り)が一段と低下するのか、要注目でしょう。
*******
パウエル議長は、10月まで6カ月間のコアインフレは年率2.5%に鈍化しており、インフレの鈍化が継続する必要があると述べました。そのうえで、政策金利は「かなり抑制的な領域」にあるとの見解を示しました。また、これまでの引き締めの効果は出尽くしていないとし、引き締め不足と引き締め過ぎのリスクはバランスしてきたと指摘しました。
議長は、政策金利が十分に抑制的な水準に到達したと確信を持ったり、いつ利下げがあるかを推測したりするのは時期尚早だとし、適切であれば一段と引き締める準備があるとも述べました。しかし、市場は「追加利上げが適切となる可能性は低い」と判断したようです。
・パウエル議長は早期利下げ観測をけん制
・ただし、市場は「(政策金利は)かなり抑制的」との発言に反応か
・市場は24年3月の利下げを73%織り込み、11月までに5回の利下げを予想!?
パウエル米FRB議長は1日、ジョージア州アトランタのスペルマン大学で学長と対談しました。議長は学生たちに対して、景気は減速しているけれども、労働市場は堅調であり、これから卒業後の職探しをする学生にとっては良い環境だとエールを送りました。
用意された講演原稿は、現在の政策金利に満足を示す一方で、市場の早期利下げ観測をけん制する内容でした。しかし、市場は、追加利上げはないと確信し、24年の早い段階で利下げがあるとの見方に傾いたようです。
1日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は24年3月の利下げを73%の確率で織り込んでいます(11月30日時点では53%)。また、メインシナリオ(確率50%超)は「24年3月、6月、7月、9月、11月にそれぞれ0.25%の利下げ」と、24年11月までの利下げ回数の予想が前日の4回から5回(計1.25%)に増えました。
アトランタ連銀のGDPNow(短期予測モデル)によれば、1日時点で10-12月期GDPは前期比年率1.2%と予測されており、11月22日時点の2.1%、同30日時点の1.8%から下方修正されました。個人消費やISM製造業景況指数の軟調が主な背景です。11月のISM指数は46.7と前月と同じ。ISMによれば10-11月の水準が続けば、GDPマイナス0.7%と整合的とのことです。
このまま景気減速感が一段と強まるのか、9月1日以来となる4.2%割れを示現した長期金利(10年物国債利回り)が一段と低下するのか、要注目でしょう。
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パウエル議長は、10月まで6カ月間のコアインフレは年率2.5%に鈍化しており、インフレの鈍化が継続する必要があると述べました。そのうえで、政策金利は「かなり抑制的な領域」にあるとの見解を示しました。また、これまでの引き締めの効果は出尽くしていないとし、引き締め不足と引き締め過ぎのリスクはバランスしてきたと指摘しました。
議長は、政策金利が十分に抑制的な水準に到達したと確信を持ったり、いつ利下げがあるかを推測したりするのは時期尚早だとし、適切であれば一段と引き締める準備があるとも述べました。しかし、市場は「追加利上げが適切となる可能性は低い」と判断したようです。
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