FOMCは追加利上げの可能性残すも、本格的な様子見モードか
2023/11/02 07:37
【ポイント】
・金融政策の判断やフォワードガイダンスは前回9月と同一
・長期金利上昇の影響を指摘
・追加利上げの支持者は減少?
米FOMC(連邦公開市場委員会)は1日、政策金利の据え置きを12対0の全会一致で決定しました。声明文やパウエル議長の会見は、総じてみればハト派的でした。米長期金利(10年物国債利回り)は大きく低下、株価は上昇。米ドル/円はやや軟化したものの、反応は限定的でした。

1日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利上げ確率は次回12月のFOMCで20%、24年1月までで27%。その後は確率が低下し、24年6月までに利下げが99%織り込まれています(いずれも0.25%幅と想定)。
米財務省は1日、四半期ごとの国債入札規模を発表。発行額は前四半期から増加したものの、市場予想を下回りました。これを受けて、長期金利は大きく低下しました。長期金利は1日に前日から20bp(ベーシスポイント=1/100%)低下しましたが、そのうち半分が国債入札規模の発表を受けてのもの、残りの半分がFOMCに対する反応でした。

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FOMCの声明文は、冒頭の景況判断を除き、政策判断やフォワードガイダンスは前回9月と同一でした。
フォワードガイダンスは、「インフレを2%に回帰させるために適切となるかもしれない追加的な引き締めの程度を決定するために、累積的な利上げや政策効果のタイムラグ、景気や金融市場の動向を考慮する」であり、追加利上げに含みを残しました。
冒頭の景況判断では、「経済活動は第3四半期に力強いペースで拡大した」と、前回の「経済活動はこれまで底堅いペースで拡大している」から修正されました。「底堅い」から「力強い」と表現は強まりましたが、「第3四半期(7-9月)に」と限定されており、同期のGDPが前期比年率4.9%と高かったことを反映したもの。「10月以降は別もの」との含意があるのでしょう。
また、前回同様に「銀行システムは健全かつ堅固」としたうえで、「金融と与信の引き締まった状況が経済活動の重石になりそうだ」と指摘。「金融」が新たに加えられたのは、長期金利の上昇を反映したのでしょう。FOMC関係者の多くは、長期金利の上昇が追加利上げの必要性を低下させていると判断しています。
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パウエル議長は会見で、「我々が直面する不確実性やリスクに加えて、これまで辿ってきた道のり(=大幅な利上げ)を考慮すると、FOMCは慎重に進んでいる」と述べました。
パウエル議長は9月のドット・プロット(19人のFOMC参加者のうち12人が追加利上げを予想)について問われて、「予測の有効性は時間の経過とともに低下する」と述べました。現時点で追加利上げを予想する参加者が減少していることを示唆しました(ドット・プロットは12月に更新されます)。
※明日3日はファンダメ・ポイントを発行します。また、10月米雇用統計の結果について、4日にファンダメ・ポイントを発行する予定です。
・金融政策の判断やフォワードガイダンスは前回9月と同一
・長期金利上昇の影響を指摘
・追加利上げの支持者は減少?
米FOMC(連邦公開市場委員会)は1日、政策金利の据え置きを12対0の全会一致で決定しました。声明文やパウエル議長の会見は、総じてみればハト派的でした。米長期金利(10年物国債利回り)は大きく低下、株価は上昇。米ドル/円はやや軟化したものの、反応は限定的でした。

1日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利上げ確率は次回12月のFOMCで20%、24年1月までで27%。その後は確率が低下し、24年6月までに利下げが99%織り込まれています(いずれも0.25%幅と想定)。
米財務省は1日、四半期ごとの国債入札規模を発表。発行額は前四半期から増加したものの、市場予想を下回りました。これを受けて、長期金利は大きく低下しました。長期金利は1日に前日から20bp(ベーシスポイント=1/100%)低下しましたが、そのうち半分が国債入札規模の発表を受けてのもの、残りの半分がFOMCに対する反応でした。

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FOMCの声明文は、冒頭の景況判断を除き、政策判断やフォワードガイダンスは前回9月と同一でした。
フォワードガイダンスは、「インフレを2%に回帰させるために適切となるかもしれない追加的な引き締めの程度を決定するために、累積的な利上げや政策効果のタイムラグ、景気や金融市場の動向を考慮する」であり、追加利上げに含みを残しました。
冒頭の景況判断では、「経済活動は第3四半期に力強いペースで拡大した」と、前回の「経済活動はこれまで底堅いペースで拡大している」から修正されました。「底堅い」から「力強い」と表現は強まりましたが、「第3四半期(7-9月)に」と限定されており、同期のGDPが前期比年率4.9%と高かったことを反映したもの。「10月以降は別もの」との含意があるのでしょう。
また、前回同様に「銀行システムは健全かつ堅固」としたうえで、「金融と与信の引き締まった状況が経済活動の重石になりそうだ」と指摘。「金融」が新たに加えられたのは、長期金利の上昇を反映したのでしょう。FOMC関係者の多くは、長期金利の上昇が追加利上げの必要性を低下させていると判断しています。
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パウエル議長は会見で、「我々が直面する不確実性やリスクに加えて、これまで辿ってきた道のり(=大幅な利上げ)を考慮すると、FOMCは慎重に進んでいる」と述べました。
パウエル議長は9月のドット・プロット(19人のFOMC参加者のうち12人が追加利上げを予想)について問われて、「予測の有効性は時間の経過とともに低下する」と述べました。現時点で追加利上げを予想する参加者が減少していることを示唆しました(ドット・プロットは12月に更新されます)。
※明日3日はファンダメ・ポイントを発行します。また、10月米雇用統計の結果について、4日にファンダメ・ポイントを発行する予定です。
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