UAWストライキは継続、米議会は混迷
2023/10/16 08:43
【ポイント】
・UAWのストライキは継続中
・米議会は下院議長の選出で迷走したまま
・いずれも長期化すれば、米景気に悪影響が出そう
UAWのストライキは継続中
UAW(全米自動車労組)は11日に、フォードのケンタッキー州ピックアップトラック工場で8,700人がストライキに入りました。UAWは9月15日のストライキ開始以降、金曜日ごとにストライキ拡大の有無を判断してきましたが、今後は事前の警告なしに随時判断することにした模様です。
16日時点で、3.4万人の組合員が3大自動車メーカーに対してストライキを行っており、その他にもマックトラックなどで約5,000人がストライキに入っています。また、ストライキの影響で工場の操業停止や生産縮小により、メーカー側が約6,000人をレイオフ(一時解雇)しています。その他、原材料や部品などを供給する周辺産業にも影響が出ているかもしれません。
フォードはUAWに対して最新のオファーで23%の賃上げを提示し、それが上限だと宣言しました。一方、UAWはそれを受け入れずに最も収益性の高いケンタッキー工場でのストに踏み切りました。
UAWと3大メーカーが合意に近づいているとの見方もありますが、状況は引き続き予断を許しません。
なお、雇用統計は毎月12日を含む一週間が調査対象となるため(※)、11月3日に発表される10月雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)に下押し圧力が加わりそうです。
※米国では1週間(まれに2週間)単位で給料が支給されるため、NFPは12日を含んだ1週間分の給料が何人に支給されたかを数えます。人によって、対象の1週間がどの日程になるのかは異なります(最も早ければ6日-12日の1週間、最も遅ければ12日-18日の1週間)。ただ、10月雇用統計では、9日(月)から13日(金)が中心になるとみられるので、今週初めにストライキが終了するとしても(その可能性はゼロに近いですが)、かなりの影響が出そうです。
米議会は下院議長の選出で迷走したまま
米議会では解任されたマッカーシー下院議長の後任が決まりません。共和党内の投票で選ばれたスカリス院内総務(下院共和党のナンバー2)は、下院議員の支持が少なかったことで選出翌日に辞退しました。下院議長に選出されるためには、共和党と民主党の下院議員435人の過半数の支持を得る必要があります。
その後、スカリス院内総務と競ったジョーダン議員が共和党内の投票で過半数を得て後任候補となりました。ただ、トランプ前大統領の支持を受けたジョーダン議員は保守強硬派グループ、フリーダム・コーカスのリーダーです。共和党穏健派や民主党が支持するとは考えにくく、すんなり下院議長に選出されることはなさそうです。
ジェフリーズ民主党院内総務(下院民主党のナンバー1)は共和党と非公式に協議を進めていることを明らかにしました。ただし、共和党保守強硬派の強い反発が予想されます。仮に、共和党穏健派と民主党が協力して下院議長を選出したとしても、予算を含む様々な交渉において共和党保守強硬派が大きな障害になる可能性があります。
いずれも長期化すれば、米景気に悪影響が出そう
UAWのストライキが拡大・長期化すれば、製造業の景況感が大きく下押し圧力を受けそうです。また、米議会の混迷は、ウクライナ支援や中東情勢に対する対応の遅れにつながる可能性があるうえ、長期化すれば継続予算が失効する11月17日にシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生するかもしれません。いずれも米景気にとってマイナスの影響が出そうです。
■13日付けM2TVグローバルView(YouTube)は「米ドル/円はピークアウトするか カギを握る長期金利」です。ぜひご覧ください。
・UAWのストライキは継続中
・米議会は下院議長の選出で迷走したまま
・いずれも長期化すれば、米景気に悪影響が出そう
UAWのストライキは継続中
UAW(全米自動車労組)は11日に、フォードのケンタッキー州ピックアップトラック工場で8,700人がストライキに入りました。UAWは9月15日のストライキ開始以降、金曜日ごとにストライキ拡大の有無を判断してきましたが、今後は事前の警告なしに随時判断することにした模様です。
16日時点で、3.4万人の組合員が3大自動車メーカーに対してストライキを行っており、その他にもマックトラックなどで約5,000人がストライキに入っています。また、ストライキの影響で工場の操業停止や生産縮小により、メーカー側が約6,000人をレイオフ(一時解雇)しています。その他、原材料や部品などを供給する周辺産業にも影響が出ているかもしれません。
フォードはUAWに対して最新のオファーで23%の賃上げを提示し、それが上限だと宣言しました。一方、UAWはそれを受け入れずに最も収益性の高いケンタッキー工場でのストに踏み切りました。
UAWと3大メーカーが合意に近づいているとの見方もありますが、状況は引き続き予断を許しません。
なお、雇用統計は毎月12日を含む一週間が調査対象となるため(※)、11月3日に発表される10月雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)に下押し圧力が加わりそうです。
※米国では1週間(まれに2週間)単位で給料が支給されるため、NFPは12日を含んだ1週間分の給料が何人に支給されたかを数えます。人によって、対象の1週間がどの日程になるのかは異なります(最も早ければ6日-12日の1週間、最も遅ければ12日-18日の1週間)。ただ、10月雇用統計では、9日(月)から13日(金)が中心になるとみられるので、今週初めにストライキが終了するとしても(その可能性はゼロに近いですが)、かなりの影響が出そうです。
米議会は下院議長の選出で迷走したまま
米議会では解任されたマッカーシー下院議長の後任が決まりません。共和党内の投票で選ばれたスカリス院内総務(下院共和党のナンバー2)は、下院議員の支持が少なかったことで選出翌日に辞退しました。下院議長に選出されるためには、共和党と民主党の下院議員435人の過半数の支持を得る必要があります。
その後、スカリス院内総務と競ったジョーダン議員が共和党内の投票で過半数を得て後任候補となりました。ただ、トランプ前大統領の支持を受けたジョーダン議員は保守強硬派グループ、フリーダム・コーカスのリーダーです。共和党穏健派や民主党が支持するとは考えにくく、すんなり下院議長に選出されることはなさそうです。
ジェフリーズ民主党院内総務(下院民主党のナンバー1)は共和党と非公式に協議を進めていることを明らかにしました。ただし、共和党保守強硬派の強い反発が予想されます。仮に、共和党穏健派と民主党が協力して下院議長を選出したとしても、予算を含む様々な交渉において共和党保守強硬派が大きな障害になる可能性があります。
いずれも長期化すれば、米景気に悪影響が出そう
UAWのストライキが拡大・長期化すれば、製造業の景況感が大きく下押し圧力を受けそうです。また、米議会の混迷は、ウクライナ支援や中東情勢に対する対応の遅れにつながる可能性があるうえ、長期化すれば継続予算が失効する11月17日にシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生するかもしれません。いずれも米景気にとってマイナスの影響が出そうです。
■13日付けM2TVグローバルView(YouTube)は「米ドル/円はピークアウトするか カギを握る長期金利」です。ぜひご覧ください。
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