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米CPIと国債入札で長期金利は上昇!

2023/10/13 07:45

【ポイント】
・CPIや国債入札で長期金利は上昇、米ドル/円は再び150円に接近
・FRBの利上げ観測はやや高まるも、メインシナリオは「打ち止め」!?
・UAWストライキなど、景気のリスク要因にも注目

米国の9月CPI(消費者物価指数)や先週の新規失業保険申請件数がやや強めだったことで、FOMCの利上げ観測が高まりました。30年物国債の入札が不調だったこともあり、長期金利(10年物国債利回り)は4.70%近辺まで上昇、米ドル/円は一時149.781円をつけました。

強めのCPIを受けた長期金利の上昇は、背景に景気の堅調があると考えれば「良い金利上昇」。一方で、国債入札後の長期金利の上昇は「悪い金利上昇」とみることが可能です。両者を明確に切り分けることはできませんが、「悪い金利上昇」の要素が強いほど、中長期的には米ドルにとってマイナス材料と考えられます。

米長期金利


12日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、年内にFOMCが0.25%の利上げを実施する確率を市場は4割程度とみています。前日の3割程度から上昇しましたが、市場のメインシナリオ(確率50%超)は引き続き今年7月の利上げで「打ち止め」というものです。

足もとの米景気は底堅く推移しているようです。それでも、UAW(全米自動車労組)ストライキの拡大・長期化の可能性や、11月17日のシャットダウン(政府機能の一部停止)の可能性、猶予されていた学生ローンの返済再開などのリスク要因に引き続き要注意でしょう。景気が失速するようなら、米長期金利、そして米ドル/円のピークアウト感が強まるかもしれません。

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9月CPI総合は前年比3.7%と、前月から横ばいで市場予想の3.6%を上回りました。一方で、食料とエネルギーを除くCPIコアは前月比4.1%と、市場予想の通りに前月の4.3%から鈍化。また、労働コストを強く反映するとしてFRBが注目しているCPIコアサービス(住居費を除く)は前年比3.7%と、前月の4.1%から鈍化。22年1月以来の低い伸びとなりました。

米CPI

米CPIコアサービス 住居費除く

先週の新規失業保険申請件数は20.9万人とほぼ市場予想(21.0万人)通り。4週移動平均は20.925万人で前週と同じで、今年2月以来の低水準でした。

失業保険新規申請件数 4週移動平均
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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