米PPIやFRB当局者の発言、FOMC議事録が材料になりそう
2023/10/11 08:38
【ポイント】
・FRB当局者によるハト派的な発言が相次ぐ
・本日もFRB当局者の発言機会あり。追加利上げ観測は一段と後退するか
・ドイツCPIにユーロが反応する可能性も
(欧米市場レビュー)
10日の欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、ユーロ/円は157.917円、英ポンド/円は182.719円、豪ドル/円は95.581円、NZドル/円は89.869円へと上昇しました。欧州や米国の主要な株価指数が堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが、円の重石となりました。
米ドルも軟調。一時、ユーロ/米ドルは1.06149ドル、英ポンド/米ドルは1.22857ドル、豪ドル/米ドルは0.64274米ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)の低下や、ボスティック・アトランタ連銀総裁が「FRB(米連邦準備制度理事会)は、これ以上の利上げを行う必要はない」との見解を示したことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
(本日の相場見通し)
FRB当局者の相次ぐハト派的な発言(※)を受けて、市場ではFRBによる追加利上げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによれば、市場が織り込む年内に追加利上げが行われる確率は、日本時間8時37分時点で3割弱。3日時点では4割強ありました。
(※)上述のボスティック・アトランタ連銀総裁のほか、ローガン・ダラス連銀総裁は9日に「最近の(米国の)長期金利の上昇は、FRBによる追加利上げの必要性を低下させる可能性がある」と発言。ジェファーソンFRB副議長は同じく9日、「FRBは慎重に進むことが可能な立場にある」と述べました。
本日は、米国の9月PPI(生産者物価指数)が発表されます(日本時間21:30)。また、ボウマンFRB理事やウォラーFRB理事、ボスティック・アトランタ連銀総裁、コリンズ・ボストン連銀総裁の発言機会があります。FRB議事録(9/19-20開催分)も公表されます(日本時間12日03:00)。
PPIが市場予想(総合:前年比1.6%、コア:2.3%)を下回る、あるいはボウマン理事らがFRBの追加利上げ観測をさらに後退させるような発言をすれば、米ドルが軟調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは上値を試す可能性があります。米ドル/円は、147.581円(10/3安値)が目先の下値メドです。
ドイツの9月CPI(消費者物価指数)改定値が本日発表されます(日本時間15:00)。CPIの市場予想は、EU(欧州連合)基準が前年比4.3%、国内基準が同4.5%です。CPIが市場予想からかい離する結果になれば、ユーロが反応する可能性があります。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
