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最新の金融政策見通し

2023/10/06 08:17

【ポイント】
・ECBの利上げ観測が大きく後退
・FRBの年内利上げ確率は4割以下、24年半ばに利下げ!?
・BOEは追加利上げあり?
・日銀は年明けから動き出す!?

主要な中央銀行から追加利上げに慎重なコメントが増えているようです。インフレの鈍化ペースが遅いため、「高金利を長期間維持する」との姿勢に変化はないようですが、今後は利上げサイクルの終了(=打ち止め)が一段と意識されるかもしれません。他方、日銀内では金融緩和の修正に向けた議論が高まっているようです。

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ECBのタカ派も打ち止めを示唆
ラガルド総裁は4日、ECB金融政策コンファレンスで「(インフレ抑制のために)十分に景気抑制的なスタンスを長期間維持する」との従来の意向を繰り返しました。また、デギンドス副総裁は、「利上げ効果の大部分はまだ顕在化していない」と発言。ビルロワドガロー仏中銀総裁は、「これ以上の利上げは正当化できない」と明言。ビルロワドガロー総裁はハト派に分類されるので、その分を割り引いて受け止める必要はあるかもしれません。ただ、タカ派とみられるカジミール・スロバキア中銀総裁も、「9月の利上げで終了したと考えている」と述べました。それらの発言を受けて、市場の利上げ観測は大きく後退しています。

米長期金利の上昇は利上げを代替
米長期金利(10年物国債利回り)は7月26日のFOMCでの利上げ後も上昇を続けており、当時に比べて約1%高い水準にあります。大雑把に言えば0.25%の利上げ4回分です。そのため、追加利上げの観測は足もとで高まっていません。デーリー・サンフランシスコ連銀総裁は、長期金利の上昇もあって「労働市場の軟化とインフレ鈍化が続けば、現在の政策金利を維持し、これまでの利上げの効果を見極める余裕ができる」と述べました。

英景気軟化の「明らかな兆候」
BOEのブロードベンド副総裁はECBのコンファレンスで、耐久財消費や住宅など金利敏感セクターを中心に、高金利が英景気を冷やして失業率を上昇させる「明らかな兆候がみられる」と発言しました。

日銀は年度後半が「見極め」の重要局面に
9月の金融政策決定会合の「主な意見」によれば、金融緩和の修正に向けた議論が高まっている様子がうかがえました。ある委員は、「物価目標の達成に近づきつつあり、今年度後半には賃上げ動向も含めて見極めの重要な局面となる」と発言。別の委員も「来年1-3月ごろには見極められる可能性もある」と述べました。

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5日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む主要中銀の金融政策見通しは以下の通りです。

ECB:年内追加利上げの確率は4%。24年前半中に利下げ開始、秋ごろに追加利下げ
FRB:年内利上げ確率は4割以下。24年半ばに利下げ開始、秋ごろに追加利下げ
BOE:24年春までに追加利上げの確率が6割程度。秋ごろの利下げ開始が6割弱。
BOJ:24年春ごろに利上げ、秋ごろに追加利上げ(ただし、0.10%幅)

主要中銀の政策金利見通し

■5日のM2TVグローバルView(YouTube)は「為替介入と米長期金利 米ドル/円への影響力」です。
■6日のM2TVグローバルView(YouTube)は「ユーロの大研究 通貨統合25年」を予定しています。

※明日7日は米国の9月雇用統計についてファンダメ・ポイントを配信する予定です。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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