マネースクエア マーケット情報

米長期金利上昇は米景気に打撃!?

2023/10/03 07:40

【ポイント】
・米長期金利は07年10月以降の高値を更新
・FOMCの利上げを補完するか
・米国はリセッション入りも?

米長期金利(10年物国債利回り)は2日に一段と上昇。一時4.70%をつけ、NY市場を4.68%で終えました。これは07年10月以降の高値をさらに更新するもの。長期金利が急ピッチで上昇しているので、米経済への打撃が懸念される状況になってきました。

米10年物国債利回り

FOMCが最後に利上げしたのは7月26日。当時の長期金利(終値)は3.87%でした。つまり、その後に政策金利は変更されていないものの、この間に長期金利は0.81%上昇した計算です(いわば0.25%利上げ3回分)。利上げを補完していると言えそうです。

米長期金利は様々な金利に反映されるため、長期金利の上昇は景気にとって打撃となり得ます。例えば、住宅ローン金利(30年固定)は9月22日時点で7.41%。これは08年リーマンショック直前の水準を超えて、IT株バブル崩壊直前の00年12月以来の水準です。すでに減少傾向が鮮明となっている住宅販売に一段の重石となる可能性があります。

住宅ローン金利 30年固定

米中古住宅販売件数

Bloombergが約60社から集計した見通しによれば、実質GDP成長率(前期比年率)は今年7-9月期に3.0%と堅調を維持するものの、10-12月期は0.5%に急減速、24年1-3月期は0.1%とほぼゼロ成長となる見込みです。

Bloomberg集計 米経済見通し

UAW(全米自動車労組)のストライキが長期化する、11月17日に継続予算が切れてシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生する、あるいは10月の学生ローン返済再開が家計に大きな負担となる、などの状況によっては、米国がリセッション入りする公算は一段と大きくなるかもしれません。長期金利や経済(とりわけ金利敏感セクター)の動向には一段の注意が必要となりそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ