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米PCEデフレーターに注目、米ドル/円が反応しそう

2023/09/29 09:09

【ポイント】
・米PCEデフレーターでFRBの利上げ観測が強まるか
・ユーロ圏CPIが市場予想を下回ればECBの利上げ観測が後退しそう
・メキシコ中銀は政策金利を今後も据え置く姿勢を示し、インフレ率見通しを上方修正

(欧米市場レビュー)

28日の欧米時間の外為市場では、
米ドルが反落。一時、米ドル/円は149.148円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.05743ドル、英ポンド/米ドルは1.22189ドル、豪ドル/米ドルは0.64274米ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルの重石となりました。

BOM(メキシコ中銀)は政策金利を11.25%に据え置くことを決定しました(後述)。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の8月PCE(個人消費支出)デフレーターが発表されます(日本時間21:30)。FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ指標としてPCEデフレーターを重視しているため要注目です。

PCEデフレーターの市場予想は、総合指数が前年比3.5%、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が同3.9%。総合指数の上昇率は7月の3.3%から高まる一方で、コア指数の上昇率は7月の4.2%から鈍化するとみられています。

PCEデフレーターが市場予想を上回る結果になれば、市場ではFRBの利上げ観測が強まる可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。

本日はまた、ユーロ圏の9月CPI(消費者物価指数)速報値が発表されます(日本時間18:00)。CPIの市場予想は、総合指数が前年比4.5%、コア指数(食品・エネルギー・アルコール・たばこを除く)は同4.8%。上昇率は総合とコアのいずれも、8月(改定値)の5.2%と5.3%から鈍化するとみられています。

CPIが市場予想を下回る結果になれば、ECB(欧州中銀)の利上げ観測が一段と後退するとともに、ユーロが下押しする可能性があります。

※ユーロ/英ポンドのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/英ポンド、当面のコアレンジは?]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

***

BOM(メキシコ中銀)は28日に政策会合を開き、政策金利を11.25%に据え置くことを決定しました。据え置きは4会合連続です。据え置くとの決定は5人の政策メンバー全員一致でした。

BOMの声明はタカ派的でした。

声明は先行きの金融政策について、前回8月と同じく「政策金利は現在の水準に長期間維持する必要がある」と表明。政策金利は今後も11.25%に据え置く方針を改めて示しました。

声明は、「前回8月の政策会合以降、総合とコアのCPI(消費者物価指数)上昇率は引き続き鈍化したが、依然として高い」と指摘。「新型コロナウイルスのパンデミックとロシアのウクライナ侵攻に起因するショックの緩和や、これまでの利上げの効果が、インフレ率の鈍化傾向に寄与している」との見方を示す一方、「(パンデミックやウクライナ侵攻による)ショックは引き続き特にサービス分野に影響を及ぼしており、また経済活動は想定したよりも回復力がある」との見方を示しました。

「インフレ率の鈍化は想定したよりも緩やかだ」として、BOMはインフレ率の見通しを8月時点から全般的に上方修正。総合のCPI上昇率がBOMのインフレ目標である3%に収束するのは25年4-6月期との見通しを示し、8月時点の24年10-12月期から2四半期後ズレさせたうえ、「予測期間内のインフレの軌道に対するリスクバランスは、依然として上向きに偏っている」としました。

22年8月と9月に8.70%だったメキシコの総合CPI上昇率は、23年8月には4.64%へと鈍化しました。また、これまでの利上げの効果は今後さらに出てくると考えられます。そのため、市場ではBOMの次の一手は利下げになるとの見方が大勢ですが、今回の声明ではBOMの金融政策スタンスが利下げ方向へ変化する兆しはみられませんでした。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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