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英中銀は利上げを打ち止め?

2023/09/22 07:25

【ポイント】
・BOEは僅差で政策金利の据え置きを決定
・決定打となったインフレ鈍化は続くのか
・市場予想は24年初にかけて追加利上げも?

BOE(英中銀)は21日、MPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を5.25%で据え置きました。9人の委員のうち4人が0.25%の利上げを支持。最後にベイリー総裁の支持で据え置きが決定しました。それだけ際どい判断でした。21年12月から前回8月まで14回連続で利上げが実施されていました。

インフレ鈍化が決定打!?
ベイリー総裁は、据え置きの理由を「インフレ面での良い知らせ」だと説明。20日発表の8月CPIが市場予想を下回って鈍化したことが決定的な要因になったと示唆しました。BOEはすでに利上げ打ち止めとの見方もありますが、ベイリー総裁は追加利上げの可能性に言及。また、インフレ率を2%の目標に回帰させるのに「慢心はできない」とし、「利下げについては全く議論されなかった。完全に時期尚早だからだ」と述べました。

主要国CPIコア

「賃金⇔インフレ」のスパイラルは解消されたか
8月CPIは総合が前年比6.7%と、前月(6.8%)から鈍化し、市場予想(7.0%)を下回りました。食料やエネルギーを除くコアも同6.2%と、前月(6.9%)および市場予想(6.8%)を下回りました。もっとも、CPI総合、コアともに主要先進国の中でも高さが目立ちます。7月の週平均賃金(賞与除く)は前年比7.8%と高く、BOEが懸念する「賃金⇔インフレ」のスパイラル的上昇が解消されたとはまだ言えないでしょう。ベイリー総裁は、足もとの原油価格の上昇がインフレの再加速をもたらさないか注視していると明らかにしました。

英週賃金とCPI

24年初にかけてあと1回の追加利上げ?
21日のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む利上げ確率は、次回11月のMPCでの33%、12月14日のMPCまでで55%、24年2月1日のMPCまでで74%です。市場はあと1回の追加利上げがあるとみているようです。ただし、ターミナルレート(政策金利のピーク)の予想は5.378%で、7月上旬の約6.50%からは大幅に低下しています。英ポンド/米ドルは7月中旬をピークに下落トレンドにありますが、反転上昇するのは難しいかもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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