BOCは政策金利据え置き、追加利上げの可能性を示す
2023/09/07 09:10
【ポイント】
・メキシコCPIでメキシコ中銀の金融政策見通しが変化するか
・BOC(カナダ中銀)はインフレに懸念を示して必要なら利上げすると表明
・BOCの追加利上げには、カナダ景気の持ち直しが必要か
(欧米市場レビュー)
6日の欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は147.698円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06897ドル、豪ドル/米ドルは0.63595米ドル、NZドル/米ドルは0.58603米ドルへと下落しました。米国の8月ISM非製造業景況指数が54.5と、市場予想の52.5を上回ったことが、米ドルの支援材料となりました。
※ISM非製造業景況指数について詳しくは、本日7日の『ファンダメ・ポイント』[米ベージュブックは弱め、ISMは強め。9月は「据え置き」が有力]をご覧ください。
エルドアン・トルコ大統領は「金融引き締めの支援を受けてインフレ率を一桁に引き下げる」と発言。これまでの「金利が下がれば、インフレ率は下がる」との主張とは異なる発言をエルドアン大統領がしました。それを受けてトルコリラが上昇したものの、トルコリラの上昇は一時的でした。
BOC(カナダ中銀)は市場予想通り政策金利を5.00%に据え置くことを決定しました(後述)。
(本日の相場見通し)
本日は、市場予想を上回った米国の8月ISM非製造業景況指数が引き続き意識されて、米ドルが堅調に推移する可能性があります。
米国の先週分の新規失業保険申請件数が本日発表されます(日本時間21:30)。新規失業保険申請件数が市場予想の23.4万件よりも良好な結果になれば、米ドルは堅調さを増して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。
米ドル/円が上昇する場合、本邦当局の反応に引き続き注目です。神田財務官は6日、為替相場について「足もとをみると、投機的な行動、ファンダメンタルズで説明できない動きがみられる」「急激な変動が続く場合、あらゆる選択肢を排除せず対応する」などと述べ、円安(米ドル/円の上昇)をけん制しました。鈴木財務相や神田財務官からの円安をけん制するトーンが強まれば、米ドル/円はいったん下落する可能性があります。
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メキシコの8月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:00)。この結果にメキシコペソが反応する可能性があります。
CPIの市場予想は総合指数が前年比4.61%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が同6.12%です。上昇率はいずれも、7月の4.79%と6.64%から鈍化するものの、BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き大きく上回るとみられています。
BOMは政策金利を長期間据え置く姿勢を示す一方、市場では早ければ年内に利下げが開始されるとの観測があります。CPIが市場予想を上回る結果になれば、利下げ観測が後退してメキシコペソが堅調に推移する可能性があります。
※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、下値支持線での動きに要注目!]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。
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BOC(カナダ中銀)は6日に政策会合を開き、政策金利を5.00%に据え置くことを決定。6月と7月の2会合連続で実施した利上げを再び停止しました。
BOCは声明で「経済における過剰な需要が緩和していることを示す最近の証拠と、金融政策の効果が遅れて出てくることを考慮し、政策金利を据え置くことを決定した」と説明しました。
声明は一方で、「最近のCPI(消費者物価指数)統計は依然として広範囲にインフレ圧力が存在していることを示している」とし、「基調的なインフレに最近下方モメンタムがほとんどないことを示している」と指摘。「(BOC)理事会は基調的なインフレ圧力が持続することを引き続き懸念しており、必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明しました。
BOCは追加利上げに含みを持たせました。ただ、BOCは今回の会合で政策金利を据え置いた理由のひとつに「経済における過剰な需要が緩和している」ことを挙げており、声明では「カナダ経済は、インフレ圧力を緩和するために必要な弱い成長期に入った」との見方が示されました。カナダの4-6月期GDPは前期比年率マイナス0.2%となり、カナダ経済はマイナス成長に陥りました。追加利上げにはカナダの景気が持ち直す必要があるかもしれません。明日8日に発表されるカナダの8月雇用統計に注目です。
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