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米ベージュブックは弱め、ISMは強め。9月は「据え置き」が有力

2023/09/07 08:10

【ポイント】
・ベージュブックは弱め、ISM非製造業景況指数は強め
・FOMC関係者の発言もマチマチ
・9月FOMCは「据え置き」見通しが支配的、11月は五分五分?

米ベージュブック(地区連銀経済報告)はやや弱め。一方で、8月ISM非製造業景況指数は6カ月ぶりの水準に上昇しました。また、GDPNow(短期予測モデル)は7-9月期GDPを前期比年率5.6%として堅調を予測。

タカ派のウォラー理事は5日、「慎重になる余裕がある」として9月20日のFOMCでの据え置き支持を示唆。一方で、ハト派のコリンズ・ボストン連銀総裁は6日、「政策金利はピークに近い、あるいはすでに達しているかもしれないが、今後のデータ次第では一段の引き締めが正当化される可能性がある」と述べました。

6日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、FRBの利上げ観測はわずかに高まりました。それでも、市場が織り込む9月FOMCでの利上げ確率は7%、11月までは49%(≒五分五分)。

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ベージュブック

ベージュブックでは、7-8月の経済活動は少しだけ増えたと報告されました。

個人消費は、コロナで先送りされてきた旅行・観光需要の発現が最終段階で予想以上に強かった一方、小売売上は引き続き鈍かったようです。(コロナ禍での)貯蓄が尽きて借り入れが増えているとの指摘もありました。

製造業では、サプライチェーン障害は改善しました。しかし、新規受注は横ばい、あるいは減少。製品需要の鈍化もあって受注残は減少しました。

住宅市場では、在庫が低水準のため、戸建て住宅の建築は増えました。ただ、住宅ローン金利や保険料の上昇が住宅販売を抑制しているようです。

銀行貸し出しはマチマチ。消費者ローンは増えたものの、延滞も増えました。

雇用は全米で伸びが抑制されていました。求職者は多かったものの、必要な熟練労働者が不足気味というミスマッチがありました。賃金上昇圧力は今年前半に強かったものの、年後半は賃金の伸びが鈍化すると予想する企業が多かったようです。

物価はほとんどの地区で伸びが鈍化。販売価格の鈍化に比べて、原材料価格の鈍化ペースが遅かったので、企業の利ザヤは縮小しました。

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9月のISM非製造業景況指数は54.5と、前月の52.7から上昇して今年2月以来の水準でした。ISM(供給管理協会)によると、8月の水準が続けば、GDP1.6%と整合的とのこと。決して強いペースではありませんが、製造業指数と同様に今年前半に底打ちして持ち直しているようにみえます。
ISM景況指数
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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