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ユーロのパリティ割れ、イタリア政局で泣き面に蜂!?

2022/07/15 08:19

【ポイント】
・ユーロ安の背景にリセッション懸念に加えてイタリア政局!?
・連立与党の足並みの乱れからドラギ首相が辞意表明
・18年政治流動化の際は、ユーロ安+長期金利差拡大

14日の欧米市場で、ユーロ/米ドルは一時0.99500ドルをつけ、前日に続きパリティ(1ユーロ=1ドル)割れを示現しました。

ユーロ圏は天然ガスのパイプライン、ノルドストリーム1の一時停止など、エネルギー供給問題からリセッション(景気後退)懸念が高まっています。7月21日のECB理事会での0.25%利上げ、9月8日の0.50%利上げがほぼ既定路線になっていますが、米FRBの利上げペースの方が速いので、さほどユーロのサポートになりそうもありません。

さらに、ユーロに下押し圧力となっていそうなのが、イタリアの政局です。議会での物価対策等の法案採決に際して、連立与党の一角である「五つ星運動」が不参加。これを政権への不信任と受け止めてドラギ首相が辞意表明しました。マッタレッラ大統領は慰留に努めているようですが、先行きは不透明です。ドラギ首相が辞意を撤回、大統領が新首相を指名、解散総選挙など、さまざまなシナリオが考えられるようです。

イタリアの政治混迷といえば、18年3月4日の総選挙が想起されます。どの政党も過半数の議席が獲得できず、長い連立交渉の結果、極右の「同盟」と極左の「五つ星運動」による新政権が誕生したのが5月中旬。両党とも反ユーロ・反EUを標ぼうしており、当時は市場にとって最悪の組み合わせと言われました。

当時、ユーロ/米ドルは連立交渉のさなかに大きく下落。また、ドイツとイタリアの長期金利差も急拡大しました。米FRBが着実に利上げを続けていたことが最大の要因だったかもしれませんが、イタリアの政局もユーロ安や長期金利差の拡大に影響を与えたと考えられます。

ユーロ/米ドル

ドイツとイタリアの長期金利差
イタリア政治が流動化して反ユーロが一気に高まる可能性は低そうですが、ユーロに下落圧力が加わりやすい状況下でイタリアの政局にも注意する必要はありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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