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追加介入に制約はあるか

2026/08/14 08:22

【ポイント】
・米ドル/円は介入による下落分の半値戻し
・日本の単独介入や日米協調介入は資金面からみれば可能
・ただし、介入が大規模あるいは頻繁になるほど制約は大きい

ここもと米ドル/円は159円台ミドルで推移。直近ピークの7月23日(163.99円)からボトムの8月3日(155.23円)までの下落分のほぼ半値戻しとなっており、市場では追加介入への警戒もあります。

以下では追加介入の制約について考察しておきましょう。

介入は半年間に3回まで?
一部では、「為替介入ができるのは、3営業日以内の介入を1回とカウントして、半年間に3回まで」との指摘があります。これはあくまでIMFによる為替政策の分類上の基準です。日本は「完全変動制」に分類されていますが、上記を超える介入を行えば、「変動制」に分類が変わる可能性があります。

■8/12付け「米ドル/円、追撃介入はあるか」の末尾で詳しく解説しています。

4月30日、5月4日、6日の介入が3営業日以内かは微妙ですが、GW内であり、1回とカウントしてもおかしくないでしょう。7月30日、31日(+8月3日?)は3営業日以内です。したがって、IMFの基準に照らせば、10月末までにあと1回介入しても日本は「自由変動制」を維持できます。

もっとも、あくまでIMFの分類上の問題なので、それを上回る介入を行って「変動制」へと分類が変わっても直接的な制約や罰則はありません。

日本の介入資金は?
日本は7月末時点で1兆2,871億ドル(約205兆円)の外貨準備を保有しています。そのうち、85%が外貨証券で、ほとんどが米国債とみられます。他に、外貨預金1,623億ドル(約25兆円)など。

日本の外貨準備

4-5月の介入では米国債を売却して介入用の米ドル資金を調達しており、7月も同様だったとみられます(決済が月またぎのため、上表「外貨準備等の状況」の7月末時点では反映されていません)。米国は日本政府の米国債売却に神経を尖らせており、これ以上の米国債売却を容認しないかもしれません。8月3日の片山財務相の談話では「将来的にFIMAレポ・ファシリティの活用を予定している」と明らかにされました。

FIMAレポ・ファシリティは米FRBが外国や国際通貨当局に対して米国債を担保に米ドル資金を融資する制度です。これを活用すれば、日本政府が米国債を売却する必要はありません。ただし、現時点でFIMAレポ・ファシリティは最大600億ドルと規定されており、介入資金としては十分とは言えないでしょう。ベッセント財務長官は同枠の拡大を提案していますが、決めるのはFRB(FOMC)であり、まだ対応はされていないようです。なお、8月13日時点でFIMAの利用はありません。

米国の介入資金は?
米財務省はESF(為替安定化基金)を保有しています。ESFは外貨の売買や外国政府への米ドル融資をするための基金であり、米ドル、外貨、IMFのSDR(特別引き出し権)から構成されています。もっとも、ほとんどがSDRで、外貨は45.6億ドルに過ぎず、円33.1億ドル、ユーロ12.5億ドルです。今回の米国の介入はユーロ売り・円買いで50~100億ドルとされているので、ESFのユーロでは全く足りません。外貨準備のユーロを売却した可能性が高そうです。

ESF

米国が米ドル売りの介入を行う場合は、自国通貨売りなので理論上、資金量に制限はありません。ただし、介入資金調達のための国債発行は金利上昇要因であり、FRBがそれを購入する場合はインフレ圧力につながります。

結論として、日本が米ドル売り・円買いの単独介入を行うにしても、日米で介入するとしても、その意思があればそれらは可能でしょう。ただし、それらが大規模、あるいは頻繁になるほど実施するための制約は大きくなるということでしょう。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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