米ドル/円、追撃介入はあるか
2026/08/12 08:28
【ポイント】
・最初の介入水準より低い水準での追撃介入はありうる
・ただし、それは最初の介入直後に限られそう
・新たな介入は最初の介入水準を上回ってから?
日米協調介入によって3日に一時155円台前半まで下落した米ドル/円は足もとで159円台に戻しています。果たして追撃介入はあるでしょうか。
為替介入によって相場が動いた直後に、さらに相場を押し上げ(押し下げ)ようとする介入を「追撃介入」と定義すれば、そのタイミングはもう過ぎていると言えます。IMFによれば、3営業日以内の介入も合わせて1回とカウントするため(■後述)、直後の追加介入はやり易いといえます。
以下では過去のケースを参考に改めて為替介入があるかどうかを考えてみます。
22年のケースでは、9月22日に介入が実施されました。そして、10月21日に9月の介入水準より6円以上米ドル高円安になったタイミングで追加介入がありました。さらに、週明け24日にも介入が実施されましたが、これは21日の介入水準より低い水準で実施された「追撃介入」でしょう。
24年のケースでは、4月29日に介入が実施されました。さらに5月1日に4月29日の介入水準より低い水準で「追撃介入」がありました。その後に米ドル/円が上昇したため、7月11日には4月の介入水準を1.60円程度上回ったタイミングで追加介入がありました。翌12日にも介入があり、これは「追撃介入」です。

今年のケースでは、4月30日に160.72円で介入実施。そして、GW中の5月4日と6日に介入がありましたが、「追撃介入」と呼んでよいでしょう。それでも、米ドル/円が上昇して7月30日に164円手前で介入実施。翌31日には日米協調での「追撃介入」がありました。8月3日にも介入があった可能性が指摘されています。

以上、少ない事例ながらまとめると、介入実施直後に一段と影響を与えようとする(ここでは一段の米ドル/円押し下げを狙う)「追撃介入」は最初の介入より低い水準で実施される。しかし、一定期間後に改めて為替介入が行われるケースでは1回目の介入水準を上回ってから実施される。
今回、やや事情が異なるのは、7月31日に日米協調介入が実施されたということ。30日の日本の単独介入は164円手前で実施されましたが、31日の協調介入実施時点の水準は160.88円。8月11日のNY終値159.28円より1.60円上ですが、この水準を超えてきた時に日米当局はどう反応するか。とりわけ、米国がそれを静観するのか、それともメンツを保つために介入に協力するのか、たいへん興味深いところでしょう。
■為替介入の制限?
「為替介入が許されるのは半年間に3回だけ。ただし、3営業日以内での介入は合わせて1回とカウントする」「・・だから本邦当局が介入できるのはあと〇回」といった言説が独り歩きしているようです。
厳密にはこうです。IMFは各国の為替政策をいくつかに分類しています。為替レートの決定を原則として市場に任せるのが「完全変動相場(free-floating)」、市場に任せるのを基本としつつ、介入による調節を行う場合があるのが「変動相場(floating)」、当局の影響が強まる順に、「固定バンド」、「クローリングペッグ」などの管理相場があり、さらに「固定相場」、「カレンシーボード」などがあります。
日本は「完全変動相場」に分類されています。そこでも過度な変動を抑制するための為替介入は行われています。ただし、「半年間に3回以内(3営業日以内は1回とカウント)」というのが基準で、それを超えると「変動相場」に分類が変わる可能性があります。あくまでIMFが認識している分類の違いという意味で、制約や罰則があるわけではありません。ただ、「変動相場」に分類されると、特定の為替水準を目指しているのでないかと批判を受けることはあるかもしれません。
・最初の介入水準より低い水準での追撃介入はありうる
・ただし、それは最初の介入直後に限られそう
・新たな介入は最初の介入水準を上回ってから?
日米協調介入によって3日に一時155円台前半まで下落した米ドル/円は足もとで159円台に戻しています。果たして追撃介入はあるでしょうか。
為替介入によって相場が動いた直後に、さらに相場を押し上げ(押し下げ)ようとする介入を「追撃介入」と定義すれば、そのタイミングはもう過ぎていると言えます。IMFによれば、3営業日以内の介入も合わせて1回とカウントするため(■後述)、直後の追加介入はやり易いといえます。
以下では過去のケースを参考に改めて為替介入があるかどうかを考えてみます。
22年のケースでは、9月22日に介入が実施されました。そして、10月21日に9月の介入水準より6円以上米ドル高円安になったタイミングで追加介入がありました。さらに、週明け24日にも介入が実施されましたが、これは21日の介入水準より低い水準で実施された「追撃介入」でしょう。
24年のケースでは、4月29日に介入が実施されました。さらに5月1日に4月29日の介入水準より低い水準で「追撃介入」がありました。その後に米ドル/円が上昇したため、7月11日には4月の介入水準を1.60円程度上回ったタイミングで追加介入がありました。翌12日にも介入があり、これは「追撃介入」です。

今年のケースでは、4月30日に160.72円で介入実施。そして、GW中の5月4日と6日に介入がありましたが、「追撃介入」と呼んでよいでしょう。それでも、米ドル/円が上昇して7月30日に164円手前で介入実施。翌31日には日米協調での「追撃介入」がありました。8月3日にも介入があった可能性が指摘されています。

以上、少ない事例ながらまとめると、介入実施直後に一段と影響を与えようとする(ここでは一段の米ドル/円押し下げを狙う)「追撃介入」は最初の介入より低い水準で実施される。しかし、一定期間後に改めて為替介入が行われるケースでは1回目の介入水準を上回ってから実施される。
今回、やや事情が異なるのは、7月31日に日米協調介入が実施されたということ。30日の日本の単独介入は164円手前で実施されましたが、31日の協調介入実施時点の水準は160.88円。8月11日のNY終値159.28円より1.60円上ですが、この水準を超えてきた時に日米当局はどう反応するか。とりわけ、米国がそれを静観するのか、それともメンツを保つために介入に協力するのか、たいへん興味深いところでしょう。
■為替介入の制限?
「為替介入が許されるのは半年間に3回だけ。ただし、3営業日以内での介入は合わせて1回とカウントする」「・・だから本邦当局が介入できるのはあと〇回」といった言説が独り歩きしているようです。
厳密にはこうです。IMFは各国の為替政策をいくつかに分類しています。為替レートの決定を原則として市場に任せるのが「完全変動相場(free-floating)」、市場に任せるのを基本としつつ、介入による調節を行う場合があるのが「変動相場(floating)」、当局の影響が強まる順に、「固定バンド」、「クローリングペッグ」などの管理相場があり、さらに「固定相場」、「カレンシーボード」などがあります。
日本は「完全変動相場」に分類されています。そこでも過度な変動を抑制するための為替介入は行われています。ただし、「半年間に3回以内(3営業日以内は1回とカウント)」というのが基準で、それを超えると「変動相場」に分類が変わる可能性があります。あくまでIMFが認識している分類の違いという意味で、制約や罰則があるわけではありません。ただ、「変動相場」に分類されると、特定の為替水準を目指しているのでないかと批判を受けることはあるかもしれません。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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