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ケヴィン・ウォーシュ

2026/01/31 08:10

※30日に財務省が公表した外国為替平衡操作の実施状況によれば、12月29日~1月28日の為替介入は0円でした。1月23日以降の「円高」局面で為替介入はありませんでした
 
【ポイント】
・FRB理事時代はタカ派だったが、現在は利下げを主張
・トランプ大統領と市場の信認を獲得するという難題に直面
・金融政策の運営スタイルを変える可能性あり
・議長就任までにハードルあり

トランプ大統領は30日、元FRB理事のウォーシュ氏を次期FRB議長に指名すると発表しました。以下では、23日のBloomberg記事「ケヴィン・ウォーシュがFRB議長になれば、どうなるか」を参考に「ウォーシュ議長」について考えてみます。

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ウォーシュ氏は現在55歳。06年から11年までFRB理事を務めました。現在は、スタンフォード大学フーバー研究所の研究員で、私的ファンドのパートナー。配偶者はトランプ家と親密なエスティ・ローダー(化粧品会社)創業者の一族。

ウォーシュ氏はFRB理事としてFOMCの決定に反対票を投じたことはありません。ただ、インフレを警戒し、リーマン・ショック後にはQE(量的緩和)に反対するなどタカ派的な言動が目立ちました。もっとも、最近はもっと利下げすべきとしてFRBを批判しており、トランプ大統領と同様の考えでいるようです(だからこそ指名されたのでしょうが)。

ウォーシュ氏は米経済をうまく誘導すべく金融政策を運営するというFRB議長本来の使命はもちろんのこと、トランプ大統領の意向を踏まえ、そのうえで市場の信認を獲得するという難題に立ち向かうことになります。

Bloombergの上記記事は、ウォーシュ氏の最近の言動から、金融政策に関わる次の点を指摘しています。

・AIによる労働生産性の高まりによりインフレなき高成長が可能⇒緩和的金融政策が可能に
・マクロの経済指標よりも株価や市場金利などのマーケットデータ、あるいは企業業績などのミクロのデータを重視
・FRBのバランスシート機能を重視せず(QEに反対)、政策金利の操作に重点を置く
・FRBの経済見通しは自らの政策自由度を狭めるとして重要視しない
・同様の理由で、市場とのコミュニケーション、とりわけフォワード・ガイダンスには否定的
・データ依存の政策運営に否定的。FRBのエコノミスト、アナリストは減らすべき
・銀行規制は緩和すべき

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「ウォーシュ議長」が思い通りに金融政策を運営できるかは疑問です。FOMCでの政策決定は12人のメンバーによる投票です。したがって、少なくとも半数の投票メンバーが議長の意向に沿って投票する必要があります。また、金融制度の変更なども議長を含む本部の理事ら7人の投票によって決定されます。

今後について、ミラン理事の任期が1月31日に満了するため、トランプ大統領はウォーシュ氏を後任に指名する可能性があります(パウエル議長が任期満了後も理事として残る場合に備えて)。そのうえで、パウエル議長の退任とともに議長に昇格させる形をとるかもしれません。

もっとも、ウォーシュ氏の理事就任も議長就任も、上院本会議での承認が必要です。現在、管轄の上院銀行委員会のティリス議員(共和党)がパウエル議長への召喚状を批判しており、その件が解決するまでFRB関連の人事を阻止する意向を表明しています。ただし、理事代行、議長代行として職務にあたることは可能かもしれません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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