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米財政事情、オバマケアはどうなる?

2025/12/25 07:55

【ポイント】
・25年末でオバマケアの補助金が期限切れに
・年明け早々の議会で補助金延長/再開が喫緊の課題
・議会審議が紛糾すれば、1月末に再びシャットダウンも

25年12月31日、つまりあと1週間弱でオバマケアの補助金)が期限切れとなります。そして、多くの医療保険加入者がコストの急増に直面します。

※厳密にはコロナ下の21-22年に導入された強化補助金のこと(以下同じ)。10年に成立したオバマケア(ACA=医療保険制度改革法)の補助金は継続されます。

民主党が補助金の延長を求め、共和党がこれを拒否したことで、予算審議が膠着してシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生しました。その後、民主党の一部が補助金延長法案の採決という条件を呑んだため、補助金延長を含まない継続(つなぎ)予算が成立して、史上最長43日間のシャットダウンに終止符が打たれました。

しかし、12月の議会で、上院は補助金延長法案の採決には至らず、下院は審議すらしなかったようです。すでに議会は散会しており、補助金の期限切れは事実上確定しました。

年明け後の議会は、上院が5日、下院が6日に召集。オバマケア補助金への対応は喫緊の課題でしょう。11月に中間選挙を控えていることもあり、共和党議員のなかにも補助金を延長しようとの動きはあるようです(いったん失効するので「再開しようとの動き」とするべきかもしれませんが)。

もっとも、それがどのような形で成立するのか、そもそも成立するかどうかさえ不透明です。トランプ政権は、徴収した関税を財源に家計に直接現金を支給する案を検討しているようですが、関税の違法性に関する最高裁の判断が待たれるなか、それも現実的にはないでしょう。

オバマケアの補助金に関して議会が紛糾すれば、再び予算の問題が浮上してくるかもしれません。11月に成立した継続(つなぎ)予算は1月30日に切れるめ、新たな予算措置が採られなければ、再びシャットダウンが発生します。新年早々、米議会動向からも目が離せません。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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