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市場の注目は雇用統計など米経済指標へ!?

2025/12/16 08:41

【ポイント】
・米経済指標を受けて市場のFRB金融政策見通しがどのように変化するか
・原油価格が一段と下落するか

(欧米市場レビュー)

15日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが軟調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.37839カナダドルへと上昇し、カナダドル/円は112.470円へと下落しました。カナダの11月CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回ったことが、カナダドルの重石となりました。

カナダのCPIの結果は以下のとおり。( )は市場予想です。BOC(カナダ中銀)はコアインフレ指標としてCPIトリム値とCPI中央値を注視しています。

・総合(前年比):2.2%(2.3%)
・トリム値(前年比):2.8%(2.9%)
・中央値(前年比):2.8%(2.9%)

米ドルも軟調。一時米ドル/円は154.826円、米ドル/シンガポールドルは1.28812シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17645ドル、英ポンド/米ドルは1.33969ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルにとってのマイナス材料となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の11月雇用統計11月小売売上高12月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)速報値が発表されます。それらの結果が材料になりそうです。

各経済指標の市場予想は以下のとおりです。
・失業率:4.5%
・非農業部門雇用者数(前月比):5.0万人増

・小売売上高(前月比):0.1%
・自動車を除いた小売売上高(前月比):0.2%

・製造業PMI:52.0
・サービス部門PMI:54.0

CMEのFedWatchツールによると、15日時点で市場が織り込むFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げする確率は、次回26年1月27-28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で2割強、次々回3月17-18日までで約5割です。

本日発表される雇用統計などが市場予想と比べて弱い結果になれば、FRBによる追加利下げ観測が市場で高まるとともに、米ドルが軟調に推移しそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わると考えられます。

※米ドル/シンガポールドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルシンガ、下降モメンタムが強まるトリガーポイントは?]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

***

米WTI原油先物の中心限月26年1月物は15日、前営業日比0.62ドル安(マイナス1.08%)の1バレル=56.82ドルで取引を終了。中心限月の清算値(終値に相当)としては、21年2月以来およそ4年10カ月ぶりの安値をつけました。ウクライナの和平交渉進展への期待(※1)や中国経済の減速への懸念(※2)が、原油価格に対する下押し圧力となりました。

原油価格の下落は、カナダドルノルウェークローネなど資源国通貨にとってマイナス材料です。原油価格が一段と下落する場合、資源国通貨が軟調に推移する可能性があります。ノルウェークローネ/スウェーデンクローナの下値メドとして、25年4月9日安値の0.90616スウェーデンクローナが挙げられます。

(※1)ウクライナとロシアの和平交渉が合意に達すれば、欧米諸国による対ロシア制裁が解除されてロシア産原油の供給が増加するとの見方があります。

(※2)中国の11月小売売上高は前年比1.3%、11月鉱工業生産は同4.8%、11月固定資産投資は同マイナス2.6%と、いずれも市場予想(それぞれ2.8%、5.0%、マイナス2.3%)よりも弱い結果でした。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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