リスクオフで円が堅調、原油価格が5月上旬以来の安値
2025/10/17 09:09
【ポイント】
・リスクオフが一段と強まるか
・原油価格がさらに下落するか
(欧米市場レビュー)
16日、欧米時間の外為市場では円が堅調に推移。一時米ドル/円は150.195円、ユーロ/円は175.440円、英ポンド/円は201.703円、豪ドル/円は97.243円、NZドル/円は86.057円へと下落しました。米国の主要な株価指数が総じて軟調に推移するなか、リスクオフ(リスク回避)が強まったことが円の支援材料となりました。
米株式市場では、ダウが前日比301.07ドル安の45,952.24ドル、ナスダックが同107.54ポイント安の22,562.54ポイント、S&P500が同41.99ポイント安の6,629.07ポイントでそれぞれ終了。米国の地銀2行が不正の疑いがある融資の問題を明らかにし、それが株価に対する下押し圧力となりました。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米国発信用不安に要注意⁉]をご覧ください。
豪ドル/NZドルは、東京時間に一時1.12874NZドルへと下落。豪州の9月雇用統計で失業率が4.5%と、市場予想の4.3%を上振れ、21年11月以来およそ4年ぶりの高水準を記録。それを受けてRBA(豪中銀)の追加利下げ観測が市場で高まり、豪ドル/NZドルに下押し圧力が加わりました。OIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む次回11月3-4日のRBA会合での利下げ確率は8割強。雇用統計発表前は4割強でした。
(本日の相場見通し)
日米など主要国の株価動向が材料になりそうです。米中貿易摩擦が引き続き懸念されるうえ、米地銀の信用不安が高まるなかで、主要国の株価は軟調に推移する可能性があります。その場合、米ドル/円やユーロ/円などの対円の通貨ペアには下押し圧力が加わると考えられます。
原油価格の動向にも注目です。米WTI原油先物の中心限月11月物は16日、前日比0.81ドル安(-1.4%)57.46ドルで取引を終了。一時は57.26ドルへと下落し、中心限月としては5月上旬以来の安値をつけました。トランプ大統領のSNSへの投稿によって地政学リスクの低下が意識されて、原油価格が下押ししました。
トランプ米大統領は自身のSNSで、プーチン・ロシア大統領との電話会談ではウクライナとの停戦をめぐり「大きな進展があった」と投稿。「プーチン大統領とハンガリーのブダペストで会談し、ロシアとウクライナの戦争終結について協議する」としました。トランプ大統領はその後、記者団に対して「おそらく2週間以内にプーチン大統領と(ブダペストで)会談するだろう」と述べました。
原油価格の下落は、カナダドルやメキシコペソ、ノルウェークローネにとってのマイナス材料と考えられます。原油価格が一段と下落する場合、それらの通貨は軟調に推移する可能性があります。
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