豪雇用統計や英GDP、日米中銀当局者の発言に注目
2025/10/16 08:52
【ポイント】
・豪雇用統計で市場のRBA金融政策見通しが変化するか
・英GDPでBOEの年内据え置き観測が補強されるか
(欧米市場レビュー)
15日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は150.891円、米ドル/カナダドルは1.40250カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.29488シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16424ドル、英ポンド/米ドルは1.34027ドルへと上昇しました。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が米ドルの重石となりました。
円は堅調。一時ユーロ/円は175.430円、豪ドル/円は98.066円、NZドル/円は86.216円へと下落しました。米国と中国の対立が激化するとの懸念(リスクオフ)が円の支援材料となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、豪州の9月雇用統計が発表されます(日本時間09:30)。
雇用統計の市場予想は失業率が4.3%、雇用者数が前月比2.00万人増。失業率は8月の4.2%から悪化する一方で、雇用者数は増加に転じるとみられています(8月は0.54万人減でした)。また、雇用者数の内訳、特にフルタイム雇用者の結果にも注目です。8月のフルタイム雇用者は前月比4.09万人減でした(9月分の市場予想なし)。
市場では、RBA(豪中銀)は次回11月3-4日の会合で政策金利を据え置くとの見方がやや優勢。OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場が織り込む次回会合の確率は、据え置きが6割弱、0.25%の利下げが4割強です。
本日発表の雇用統計が弱い結果になれば、次回会合での利下げ観測が高まって豪ドルが軟調に推移する可能性があります。
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英国の8月GDP(国内総生産)や8月鉱工業生産が本日発表されます(日本時間15:00)。その結果に英ポンドが反応しそうです。
市場予想はGDPが前月比0.1%、鉱工業生産が前月比0.2%、前年比マイナス0.8%です。
市場ではBOE(英中銀)は政策金利を年内据え置くとの見方が優勢です。GDPや鉱工業生産が市場予想と比べて強い結果になれば、その見方が補強されるとともに英ポンドにとってのプラス材料になりそう。その場合、英ポンド/円は堅調に推移し、ユーロ/英ポンドは軟調に推移すると考えられます。ユーロ/英ポンドは、8月14日安値の0.85928ポンドが下値メドです。
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日銀の田村審議委員が沖縄県金融経済懇談会に参加し、10時30分からの懇談会であいさつします。14時から会見する予定です。
田村審議委員は前回9月18-19日の金融政策決定会合で政策金利の据え置きに反対し、0.25%利上げするよう提案しました。市場では9人の政策委員の中で最もタカ派に位置付けられていいます。
本日のあいさつや会見で利上げに前向きな姿勢が示されれば、円にとってのプラス材料となり、ユーロ/円やNZドル/円など対円の通貨ペアの上値を抑える要因になる可能性があります。
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本日はまた、FOMC(米連邦公開市場委員会)参加者の発言機会が多くあります。FRBのボウマン副議長やウォラー理事、バー理事はそれぞれ講演し、ミラン理事は討論に参加する予定です。
市場では、FRBは年内残り2回(10月28-29日と12月9-10日)のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げが行われるとの見方が有力。FOMC参加者の発言によってその見方が補強されるのか注目です。
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