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米中貿易摩擦への懸念が再燃、円が堅調

2025/10/15 09:04

【ポイント】
・米国と中国の通商関連のニュースには引き続き要注意
・両国の貿易摩擦への懸念が高まる場合、さらなるリスクオフも
・ベージュブックなどを受けて市場のFRB金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

14日、欧米時間の外為市場ではユーロが堅調に推移。一時ユーロ/米ドルは1.16093ドル、ユーロ/英ポンドは0.87170ポンド、ユーロ/円は176.200円近辺へと上昇しました。フランスのルコルニュ首相は「年金制度改革を27年の大統領選後まで停止する」と表明し、野党の社会党に譲歩。それを受けて社会党は内閣不信任案に賛成しない方針を示しました。国民議会(下院)は16日に不信任案を採決する予定です。同国の政治不安が後退してユーロの支援材料となりました。

も堅調。一時米ドル/円は151.592円、英ポンド/円は201.322円、豪ドル/円は97.833円、NZドル/円は86.301円へと下落しました。以下のことを受けて米国と中国の貿易摩擦への懸念が再燃し、リスクオフ(リスク回避)が強まったことが円の支援材料となりました。

米国と中国は14日、互いの船舶に対して港湾使用料の追加徴収を開始しました。また、中国商務省は韓国の造船会社ハンファ・オーシャンの米国子会社5社への制裁を発表。制裁について「5社は米政府の調査活動に協力し、中国の主権や安全保障、発展上の利益を脅かしたため」と中国商務省は説明しました。米政府は通商法301条に基づき、中国の海運業や造船業界を調査しています。

トランプ米大統領は自身のSNSで「中国は米国産大豆を意図的に買わず、(米国の)大豆農家に困難をもたらしていることは経済的な敵対行為だ」と非難。「報復措置として、中国産の食用油などの輸入停止を検討中だ」と投稿しました。

(本日の相場見通し)

米国と中国の通商関連のニュースには引き続き要注意です。新たなニュースによって両国の貿易摩擦への懸念が高まる場合、米ドル/円やユーロ/円などの対円の通貨ペアが軟調に推移しそうです。

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本日は、米国の10月NY連銀製造業景気指数が発表され、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます(それぞれ日本時間21:30と16日03:00)。それらが材料になる可能性があります。

FRB(米連邦準備制度理事会)は前回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で6会合ぶり、今年初めての利下げを実施。政策金利を4.25~4.50%から4.00~4.25%へと引き下げました。

市場では、年内残り2回(10月28-29日と12月9-10日)のFOMCでもそれぞれ0.25%の利下げが行われるとの見方が有力です。

本日の『ファンダメ・ポイント』は[パウエル議長のメッセージ、10月利下げ!?]です。

NY連銀製造業景気指数が市場予想のマイナス1.8を下回る、あるいはベージュブックがFRBによる追加利下げ観測を高める内容になれば、米ドルが軟調に推移しそう。その場合には米ドル/円や米ドル/シンガポールドルは下値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になると考えられます。

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立憲民主党と日本維新の会、国民民主党の3党党首が本日会談する予定です。その結果次第では“高市トレード(円安・株高・債券安)”が巻き戻される可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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