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パウエル議長のメッセージ、10月利下げ!?

2025/10/15 08:23

【ポイント】
・議長の講演の主眼はFRBのバランスシートの説明
・市場の流動性維持のために近々QTを終了する可能性に言及
・金融政策に関しては、雇用の下方リスク増大を指摘
・「年内2回のFOMCで利下げ」との市場の観測を追認か

パウエルFRB議長は14日、NABE(全米ビジネス経済学協会)で講演。追加利下げを明言したわけではありませんでしたが、発言内容は年内2回のFOMCで0.25%ずつ利下げとのドットプロット(中央値)や市場の観測を追認するものでした。

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講演のタイトルは「FRBのバランスシートを理解する」。講演の多くがバランスシート、とりわけ保有債券の役割や、QE(量的緩和)やQT(量的引き締め)の説明にあてられました。そこでの結論は、市場における一定の流動性を維持するために、数カ月以内に現在行っているQTを停止する可能性があるというもの。

金融政策の見通しについては、最後に短く触れられました。パウエル議長は、景気と物価の見通しは9月のFOMC以降ほとんど変化していないと述べました。ただ、雇用については失業率が8月まで低水準を維持する一方で、雇用の伸びは(一部に移民規制など労働力供給に原因があるものの)顕著に鈍化しており、雇用の下方リスクが増大したとの判断を示しました。

パウエル議長は、9月の雇用統計の発表が延期されたものの、(JOLTSなど)利用可能なデータからは、採用も解雇も低水準であること、そして職探しが困難な一方で採用が容易になったことが示されていると指摘しました。

パウエル議長は物価について、PCEコアの伸び率が年初からやや高まっており、モノの価格上昇が大きいとしました。ただ、それは関税による面が大きいため、短期のインフレ期待は上昇しているものの、長期のインフレ期待は2%の物価目標に沿ったものとなっていると説明しました。

パウエル議長は結論として、リスクのない金融政策のルートはないこと、FOMC参加者の見解が大きく分かれていること、FOMCごとに最新の情報に基づいて判断が変わりうることなどを説明しました。ただ、10月利下げは規定路線かもしれません。シャットダウンで多くの経済指標の発表が延期されるなか、24日予定の9月CPIで状況が大きく変化する可能性は低そうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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