米ドルが軟調、対英ポンドで約2カ月ぶり、対豪ドルで約10カ月ぶり安値
2025/09/16 08:39
【ポイント】
・米小売売上高などで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・カナダCPIでBOCによる10月以降の追加利下げ観測が高まるか
(欧米市場レビュー)
15日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は147.232円、米ドル/カナダドルは1.37663カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17689ドル、英ポンド/米ドルは1.36147ドル、豪ドル/米ドルは0.66694米ドルへと上昇。ポンド/米ドルは7月8日以来、豪ドル/米ドルは24年11月上旬以来の高値をつけました。FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測のほか、米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
米国の9月NY連銀製造業景気指数はマイナス8.7と、市場予想(プラス4.8)に反してマイナスとなりました。そのことが米長期金利低下の要因になったようです。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の8月小売売上高や8月鉱工業生産が発表されます。それらの結果が材料になりそうです。
市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
・小売売上高(前月比):0.2%(0.5%)
・小売売上高(自動車を除く。前月比):0.4%(0.3%)
・鉱工業生産(前月比):マイナス0.1%(マイナス0.1%)
小売売上高や鉱工業生産が市場予想と比べて弱い結果になれば、米景気の先行きをめぐる懸念が市場で強まるとともに、FRBによる積極的な利下げ観測が高まる可能性があります。積極的な利下げ観測が高まる場合、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円には下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。
※本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMC直前情勢と注目ポイント]です。
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カナダの8月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます。
CPIの市場予想は総合が前年比2.0%、トリム値が同3.0%、中央値が同3.1%。総合の上昇率は前月の1.7%から高まる一方で、BOC(カナダ中銀)がコアインフレ指標として注視するCPIトリム値とCPI中央値の上昇率は前月と同じになるとみられています。
カナダの4-6月期GDP(国内総生産)や8月雇用統計が弱い結果(※)だったことを受け、市場ではBOCによる利下げ観測が高まりました。市場は、次回9月17日のBOC会合での0.25%利下げをほぼ確実視しています。
カナダのCPIが市場予想を下回る結果になれば、17日の会合での利下げ観測が補強されるとともに、10月以降の追加利下げ観測が高まりそう。その場合にはカナダドルにとってのマイナス材料になると考えられます。
(※)4-6月期GDPは前期比年率換算マイナス1.6%、8月雇用統計は失業率が7.1%、雇用者数が前月比6.55万人減。市場予想はそれぞれ、マイナス0.6%、7.0%、1.00万人増でした。
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