米PPIやノルウェーCPIに市場が反応か
2025/09/10 08:44
【ポイント】
・PPIでFRBによる積極的な利下げ観測が高まるか
・CPIでノルゲバンクの金融政策に対する市場の見方が変化するか
(欧米市場レビュー)
9日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は147.400円近辺、米ドル/カナダドルは1.38553カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.17029ドル、英ポンド/米ドルは1.35194ドル、豪ドル/米ドルは0.65794米ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが、米ドルの支援材料となりました。
円も対米ドルを除いて堅調。一時ユーロ/円は172.123円、英ポンド/円は198.779円、豪ドル/円は96.800円へと下落しました。「日銀は、国内の政治情勢が混迷する中でも年内利上げの可能性を排除しない」との報道が、円の支援材料となりました。
米雇用統計の年次基準改定の結果が公表され、今年3月までの1年間の雇用者数が91.1万人下方修正されました。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米雇用統計の年次基準改定:91.1万人の下方修正]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の8月PPI(生産者物価指数)が発表されます(日本時間21:30)。その結果が材料になりそうです。
PPIの市場予想は以下のとおり。( )は前月の実績です。
<総合>
・前月比:0.3%(0.9%)
・前年比:3.3%(3.3%)
<コア>
・前月比:0.3%(0.9%)
・前年比:3.5%(3.7%)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内全てのFOMC(米連邦公開市場委員会)でそれぞれ0.25%の利下げを行うとの観測があります。年内に開かれるFOMCは、9月16-17日と10月28-29日、12月9-10日です。
PPIが市場予想を下回る結果になれば、FRBによる積極的な利下げ観測が一段と高まるとともに、米ドルに対して下押し圧力が加わると考えられます。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上昇しそう。米ドル/円は、8月14日安値の146.200円が下値メドです。
***
ノルウェーの8月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間15:00)。
CPIの市場予想は、総合が前年比3.5%、エネルギーや税制改革の影響を除いたCPI-ATEが同3.1%。コアインフレ率であるCPI-ATEの上昇率は前月と同じとなり、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)のインフレ目標である2%を引き続き上回るとみられています。
ノルゲバンクは前々回6月の政策会合で0.25%の利下げを実施。前回8月14日の会合では政策金利を4.25%に据え置いたものの、声明で「経済見通しは不透明なものの、経済がおおむね現在の見通しに沿って推移すれば、25年中に政策金利はさらに引き下げられるだろう」と表明しました。
市場では、ノルゲバンクは次回9月18日の会合で0.25%の利下げを行うとの見方が有力。その後、12月にさらに利下げが行われるとの観測もわずかながらあります(11月の会合は政策金利の据え置きを予想)。
本日発表のCPIが市場予想を上回る結果になれば、ノルゲバンクによる利下げ観測が後退する可能性があります。利下げ観測が後退する場合、ノルウェークローネのプラス材料になりそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。