米ADP雇用統計やISM非製造業景況指数、スウェーデンCPIに注目
2025/09/04 08:55
【ポイント】
・米経済指標で10月以降のFRB利下げ観測が高まるか
・CPIで市場のスウェーデン中銀金融政策見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
3日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は147.869円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.16765ドル、英ポンド/米ドルは1.34529ドルへと上昇しました。米国の7月JOLTS(労働動態調査)求人件数が718.1万件と、市場予想の737.8万件を下回ったことが、米ドルの重石となりました。
ノルウェークローネも軟調。ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは一時0.93837スウェーデンクローナへと下落しました。原油価格の下落がノルウェークローネに対する下押し圧力となったと考えられます。
米WTI原油先物の中心限月の10月物は、前日比1.62ドル安(-2.47%)の1バレル=63.97ドルで取引を終了。OPECプラスの有志8カ国(※)は7日にオンライン会合を開きます。同会合で原油の追加増産が検討されるとの報道が、原油価格の下落要因となりました。
(※)サウジアラビア、ロシア、イラク、UAE、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーンの8カ国。
(本日の相場見通し)
本日は、米国の8月ADP雇用統計や8月ISM非製造業景況指数が発表されます(前者が日本時間21:15、後者が同23:00)。それらの結果が材料になりそうです。
3日発表のJOLTS求人件数の弱い結果を受け、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が一段と高まりました。CMEのFedWatchツールによると、次回9月16-17日のFOMCでの0.25%利下げ確率は約97%(米国時間3日時点)。市場は9月の利下げをほぼ確実視しています。
ADP雇用統計の市場予想は前月比6.5万人増、ISM非製造業景況指数の市場予想は51.0。それらが市場予想を下回る結果になれば、9月だけでなく次々回10月28-29日のFOMCでも利下げが行われるとの観測が高まるかもしれません。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下落し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上昇しそうです。
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スウェーデンの8月CPI(消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間15:00)。
市場予想は、総合CPIが前年比1.1%、住宅ローン金利変動の影響を除外したCPIFが同3.2%。いずれも前月(それぞれ0.8%と3.0%)から上昇率が高まるとみられています。リクスバンク(スウェーデン中銀)は、CPIF上昇率2%をインフレ目標としています。
リクスバンクは24年5月以降、7回合計2.00%の利下げを実施。前回25年8月の政策会合では政策金利を2.00%に据え置く一方で、声明で「25年中にさらなる利下げが行われる可能性が引き続きある」と表明しました。年内に開かれるリクスバンクの会合は、9月23日・11月5日・12月18日。市場では、11月あるいは12月の会合で0.25%の追加利下げが行われるとの観測があります。
総合CPIやCPIFが市場予想を上回る結果になれば、リクスバンクによる追加利下げ観測が市場で後退するとともに、スウェーデンクローナにとってプラス材料になりそう。ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(ノックセック)は軟調に推移すると考えられます。
※ノックセックのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』は[ノックセック、レンジワークが継続しそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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