日銀審議委員の発言や米経済指標が材料になるか
2025/08/28 08:58
【ポイント】
・中川審議委員のあいさつなどで追加利上げのタイミングについてのヒントが示されるか
・米GDP改定値などでFRBによる利下げ観測が補強されるか
・米長期金利は一段と低下するか
(欧米市場レビュー)
27日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移、一時米ドル/円は143.300円近辺、米ドル/カナダドルは1.37827カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16400ドル近辺、英ポンド/米ドルは1.34967ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下したことが、米ドルの重石となりました。
(本日の相場見通し)
本日、日銀の中川審議委員が山口県金融経済懇談会に出席します。中川委員は午前10時30分からの懇談会であいさつをし、午後2時から会見する予定です。
日銀は「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」との方針を示しており、市場では今年中に追加利上げが行われるとの観測があります。年内に開かれる日銀の金融政策決定会合は、9月18-19日と10月29-30日、そして12月18-19日です。
中川委員のあいさつや会見における注目点は、日銀の追加利上げのタイミングについて何らかのヒントが示されるかどうか。あいさつや会見を受けて追加利上げ観測が市場で後退する場合、円にとってマイナス材料となり、豪ドル/円やNZドル/円が堅調に推移する可能性があります。
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米国の4-6月期GDP(国内総生産)改定値や7月住宅販売保留指数、先週分の新規失業保険申請件数が本日発表されます。
市場予想は以下のとおり。( )はGDPが4-6月期の速報値、住宅販売保留指数と新規失業保険申請件数は前回の実績です。
・GDP(前期比年率):3.1%(3.0%)
・住宅販売保留指数(前月比):マイナス0.1%(マイナス0.8%)
・新規失業保険申請件数:23.0万件(23.5万件)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が有力。米国時間27日時点で市場が織り込む9月の利下げ確率は9割弱です。
GDPなどが市場予想と比べて弱い結果になれば、9月のFOMCでの利下げ観測が補強されるとともに、次々回11月のFOMCでの追加利下げ観測が高まる可能性もあります。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそうです。目先の下値メドとして、米ドル/円は146.200円(8/14安値)、米ドル/カナダドルは1.37200カナダドル(8/7安値)がそれぞれ挙げられます。
米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向にも注目です。米長期金利は27日に4.23%へと低下し、8月14日以来およそ2週間ぶりの低い水準をつけました。FRBによる利下げ観測が足もとの米長期金利低下の主な要因になっているようです。
米長期金利が一段と低下する場合、米ドルにとってマイナス材料になると考えられます。
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