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【株価指数】トランプ関税は違法!? 8月米雇用統計はどうか

2025/09/01 07:06

【ポイント】
・米連邦高裁が違法判断をしたトランプ関税に新たな展開はあるか
・雇用統計などで米労働市場の悪化が再確認されるか
・次回およびそれ以降のFOMCに関して利下げ観測が一段と高まるか

(先週のレビュー)

先週の主要株価指数は、日経平均が揉み合い、S&P500が高値を更新し、NYダウが高値に接近するなど米株価指数は比較的堅調。ただし、いずれも週末に下落。FTSE100は前週末の最高値から下落基調に転じました。

パウエルFRB議長が22日のジャクソンホール講演で利下げを示唆。26日にトランプ大統領がクックFRB理事解任に動いたことで、FRBの独立性に対する懸念は生じたものの、利下げ観測の高まりが株価のプラス材料になりました。

ただし、高値警戒感に加えて、29日の7月米PCEデフレーターがやや強めだったこともあって、週末にかけて米株は大型ハイテク株を中心に下落しました。日本株については、米株を横目でみながら、著名投資家バフェット氏の商社株買いを好感する場面がありました。一方で、欧州では、ドイツでのインフレ上振れ、フランスの政治不安(9月8日に内閣信任投票)、英国での銀行課税論の台頭などもあり、株価全般の重石となったようです。


(今週の相場材料)

先週29日に連邦高裁が違法判断を下したトランプ関税(※)に新たな展開はあるでしょうか。差し止めは認められなかったため、関税は当面有効です。また、最高裁が連邦高裁の決定を覆して合法判断を下す可能性もあります。

IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税や対カナダ・メキシコ・中国のフェンタニル関税が対象。鉄鋼・アルミや自動車など通商拡大法232条に基づく品目別関税は対象外。

仮に、違法との判断が確定すれば、関税率の巻き戻しや徴収した関税の還付などが必要となり、内外企業や通商関係機関が大混乱になる可能性も。また、すでに合意された通商協定や継続中の関税交渉なども大きく影響を受けるかもしれません。株式市場も無関心ではいられないでしょう。

9月1日は米国のレーバーデーで休場。夏休みが明けて米議会も2日から活動が再開されます。4日に上院でミランFRB理事候補指名承認公聴会。上院で承認されれば、ミラン氏は9月16-17日のFOMCに間に合うことになります。

9月FOMCに向けて、重要な経済指標もあります。2日に8月ISM製造業景況指数、3日にベージュブック(地区連銀経済報告)や7月JOLTS(労働動態調査)、4日に8月ADP雇用統計や先週の新規失業保険申請件数、5日に8月雇用統計など。とりわけ、7月雇用統計が非常に悪かったため、雇用関連を中心に精査されそうです。

日本では、1日に4-6月期法人企業統計、2日に氷見野日銀副総裁の講演や自民党両院議員総会、5日に7月毎月勤労統計などが予定されています。自民党両院議員総会で臨時総裁選への機運が高まるなら、財政拡大が意識されることで、株価は下支えされるかもしれませんが、長期金利の上昇に拍車がかかる(=株安要因)可能性もあります。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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