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クック理事解任騒動、債券自警団はどうする⁉

2025/08/27 07:45

【ポイント】
・トランプ大統領が25日、クックFRB理事の解任を発表
・クック理事は解任を不当として提訴の構え
・解任発表後に米長期金利は上昇も、その後に低下
・それでも利回り曲線のスティープ化は金融政策の政治利用に警告?
・解任騒動の行方は? 長期金利はどう反応する?

トランプ大統領は25日(日本時間26日午前)、住宅ローン申請での不正(※)が疑われるクック理事を即時解任すると発表しました。クック理事は、大統領が理事を解任できる「正当な理由」はないとして提訴する構えです。

※ミシガン州で住宅ローン申請に際して、主たる居住物件と報告。短期間ののちにジョージア州でも同様の申請をしたとのこと。低利の住宅ローンを不正に得たと指摘されています。

■8/22付け「米FRBで今、何が起きているか(2):クック理事への辞任圧力」もご覧ください。

クック理事の解任発表を受けて、米ドルは下落し、米長期金利(10年物国債利回り)は上昇。中央銀行の独立性を脅かす動きに対して、市場が警鐘を鳴らした格好でした。

長期金利は欧州時間に入って反落、さらに米国時間には消費者信頼感の低下もあって一段と低下しました。インフレ懸念や財政赤字拡大懸念に対して、長期金利が上昇して(国債価格が下落して)警鐘を鳴らすという、いわゆる「債券自警団」はわずかに動いたに過ぎなかったようです。

米長期金利

もっとも、利下げ期待の高まりから短期金利(2年物国債利回り)が大きく低下する一方で、長期金利の低下幅は小さく、イールドカーブ(利回り曲線)は右上がりの勾配が急になりスティープ化しました。短期金利、長期金利ともに低下するなかでスティープ化したため、ブル・スティープ(※)であり、必ずしも債券市場が強く警告を発したわけではありません。

ただし、債券市場のセンチメントをより強く反映する超長期金利(30年物国債利回り)は上昇しました。そのため10年~30年の期間ではベア・スティープ化しており、わずかとはいえ「債券自警団」は動きを見せたとも言えます。

※長短金利差(長期>短期)が拡大するのがスティープ化、縮小するのがフラット化。金利が全体に低下するのがブル(債券に強気)、上昇するのがベア(同弱き)。

米イールドカーブ

クック理事の解任騒動は裁判の場に持ち込まれて長期化するかもしれません。その間にクック理事は職に留まるか。そして、いつ決着するか。展開次第で「債券自警団」はより強い警告を発するのか。今後の動向を見守る必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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