カナダのCPI発表、カナダドルが反応しそう
2025/08/19 08:53
【ポイント】
・カナダCPIで市場のBOC金融政策見通しが変化するか
・米経済指標でFRBによる利下げ観測が一段と後退するか
(欧米市場レビュー)
18日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は147.948円、米ドル/カナダドルは1.38267カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.16552ドル、英ポンド/米ドルは1.35028ドルへと下落しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇したことが米ドルの支援材料となりました。
(本日の相場見通し)
本日は、カナダの7月CPI(消費者物価指数)が発表されます(日本時間21:30)。その結果にカナダドルが反応しそうです。
CPI総合の市場予想は前年比1.8%と、炭素税が4月1日に撤廃された影響によって4月・5月・6月に続いて2%(BOCのインフレ目標レンジの中間値)を下回るとみられています。
BOC(カナダ中銀)はコアインフレ指標としてCPIトリム値とCPI中央値を注視しており、それらの結果にも注目です。市場予想はトリム値と中央値のいずれも前年比3.1%。前月の上昇率はそれぞれ3.1%と3.0%でした。
BOCは24年6月から25年3月まで7会合連続、合計2.25%の利下げを実施。その後、4月・6月・7月と3会合連続で政策金利を据え置きました。現在の政策金利は2.75%です。
市場では、BOCは次回9月17日の会合でも政策金利を据え置くとの見方が優勢。OIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む9月会合の確率は、据え置きが7割弱、0.25%の利下げが3割強です。
本日発表のCPIが市場予想を上回る結果になれば、9月会合での据え置き観測が一段と高まりそう。その場合にはカナダドルが堅調に推移すると考えられます。
***
米国の7月住宅着工件数や7月建設許可件数が本日発表されます(いずれも日本時間21:30)。
市場予想は以下のとおりです。
・住宅着工件数(年率換算):130.0万件
・建設許可件数(年率換算):138.5万件
14日に発表された米国の7月PPI(生産者物価指数)の強い結果を受け、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによると、米国時間17日時点で市場が織り込む次回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の確率は、0.25%の利下げが約84%、政策金利の据え置きが約16%。13日時点の確率は0.25%の利下げが約94%、0.50%の利下げが約6%、据え置きは0%でした。
住宅着工件数や建設許可件数が市場予想を上回る結果になれば、利下げ観測が一段と後退する可能性があります。その場合には米ドルにとってプラス材料となり、米ドル/円は堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移しそうです。米ドル/円の上値メドとして、8月12日高値の148.471円が挙げられます。
***
ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)が本日講演する予定です。
FRBは前回7月29-30日のFOMCで政策金利を据え置きました。そのFOMCでボウマン副議長はウォラー理事とともに0.25%の利下げを支持して決定に反対しました。
ボウマン副議長は8月9日の講演では、「最近の雇用指標は、年内に3回の利下げという私の見解を強固にするものだ」と述べ、「行動の遅れは労働市場のさらなる悪化を招くリスクがあり、より大幅な利下げが必要になる可能性がある」などと語りました。
ボウマン副議長が本日の講演でFRBの先行きの金融政策について目新しい発言をすれば、材料になりそうです。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。