主要国の株価動向が材料になりそう、FRB当局者の講演にも注目
2025/08/13 09:04
【ポイント】
・主要国の株価は引き続き堅調に推移するか
・FRB当局者の講演で金融政策について新たなヒントが提供されるか
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は147.579円、米ドル/カナダドルは1.37532カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16917ドル、英ポンド/米ドルは1.35185ドルへと上昇しました。米国の7月CPI(消費者物価指数)は総合が前年比2.7%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコアが同3.1%でした。総合は市場予想の2.8%を下回る一方でコアは市場予想の3.0%を上回ったものの、市場では前者の結果がより強く意識されて米ドルに対して下押し圧力が加わりました。
トランプ大統領が米労働統計局(BLS)の次期局長に指名したアントニー氏がFOXテレビのインタビューで、米雇用統計について「データの問題が是正されるまで毎月の発表を停止し、四半期ごとの発表にすべき」と提案しました。そのことも米ドルの重石となったようです。テレビインタビューはBLS局長に指名される前の8月4日に行われました。
(本日の相場見通し)
本日は米国の主要な経済指標の発表はなく、日米など主要国の株価動向が材料になる可能性があります。
12日の東京株式市場では日経平均が最高値をつけ、米株式市場でもナスダックやS&P500が最高値を記録しました(ダウは前日終値比483.52ドル上昇)。日経平均の上昇はトランプ米大統領が対中国関税の一部の停止期限を90日間延長する大統領令に署名したことなど、米国株の上昇はFRBによる利下げ期待が主な要因になったようです。
主要国の株価が引き続き堅調に推移すれば、リスクオン(リスク選好)が強まりそうです。その場合には豪ドル/円やNZドル/円には上昇圧力が加わる可能性があります。NZドル/円は、7月28日高値の88.998円が上値メドです。
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バーキン・リッチモンド連銀総裁やボスティック・アトランタ連銀総裁、グールズビー・シカゴ連銀総裁が本日それぞれ講演します。
講演では、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策の先行きについて新たなヒントが提供されるかどうかに注目です。
ボスティック総裁は7日に「米経済は引き続き減速すると予想される。それが雇用とインフレにどのような影響を与えるかについては不確実性が残る」、「FRBにとって最も重要な問題は、関税に起因するインフレが一時的なのか、それとも持続的なインフレ圧力につながるのかだ」、「年内に1回(0.25%)の利下げ実施が適切との考えは変えていないが、(次回)9月の会合までには多くの経済指標が発表される」などと語りました。
バーキン総裁は12日に「インフレ圧力が強まる、あるいは失業率に上昇圧力が加わる可能性がある。両者のバランスは依然として不透明だ」、「経済見通しが一段と明確になるにつれて、必要に応じて金融政策スタンスを調整できる態勢が整っている」などと述べました。
グールズビー総裁については、前回7月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、発言は伝わっていません。
FRBは次回9月16-17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利下げすると市場は予想。その後も複数回の利下げが行われるとの観測が市場にはあります。
グールズビー総裁らの講演によってFRBによる利下げ観測が後退する場合、米ドルが堅調に推移しそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは上値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは下値を試す展開になる可能性があります。
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